ウガンダ治安最新情報(2024年9月)/海外安全.jp


0.ウガンダにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在ウガンダ日本国大使館  :+256-(0)312-261‐564

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察/救急/消防 :999(共通)

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

ウガンダに対しては、各国のリスク評価が分かれています。最も慎重に分析しているのはアメリカおよびオーストラリア政府で、次に日本政府、イギリス政府の順に地図上や文言上のリスク評価が軽くなっていきます。
オーストラリア政府、日本政府は北部南スーダンとの国境での難民の動向や東部・西部の武装勢力襲撃へ強く警戒が示されています。アメリカ政府、イギリス政府はこうした武装勢力の動向は記載こそあるものの、他地域とリスク評価に差をつけることはしておらず、むしろ全土で増加傾向にあり、凶悪な犯罪が発生することへの注意喚起が中心となっています。

【海外安全.jpのコメント】

ウガンダでは2010年以降、大きなテロは発生していませんが、ソマリアを拠点とする過激派アル・シャバーブは引き続きウガンダへの攻撃を宣言しています。

加えて、家畜や縄張りをめぐる部族同士の衝突や、隣国での政治治安情勢に影響を受けて一部地域で急激な治安悪化が発生するといった経緯があります。当事者ではなくても、暴力を伴う衝突に巻き込まれると外国人であっても死傷しかねないことから、オーストラリア政府と日本政府はそれぞれ国民への強めの注意喚起を行っているものと思われます。

より多くの方が訪問されるであろう首都カンパラや国内各地の国立公園他では銃器も用いられる可能性もある強盗事件により注意が必要です。なお2023年には日本人の方が首都の路上で強盗被害に遭い、暴行を受けたことが原因で後に死亡する事案も発生しています。

なお上述の通り、ウガンダ各地に対して日本、アメリカ、オーストラリアの各国政府が発している危険レベル、注意が必要としている地域は異なります。ウガンダへ渡航する前は日本政府外務省の危険情報(色付きの地図)のみならず、他国政府が高いレベルの警戒を発している地域に入る予定がないか、ご確認されることをおススメします。

2.日本政府の危険情報

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「レベル3:渡航は止めてください。」が設定されている地域

コンゴ民主共和国との国境地帯(ホイマ県以南)

ホイマ県以南の国境地帯では、コンゴ民主共和国を拠点とする反ウガンダ武装勢力ADFが活動を活発化しており、ウガンダ軍との武力衝突が断続的に発生しています。2023年10月にはクイーンエリザベス国立公園内で外国人観光客も犠牲になる襲撃事案が発生しており、2024年2月1日以降、渡航を控えるよう強い注意喚起が新たに設定されました。

「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」が設定されている地域

西部(ントロコ県、ブンディブジョ県、ブニャンカブ県、カセセ県、ルビリズィ県、ルクンジリ県、カヌング県、キソロ県(いずれも国境地帯を除く)、及びカバロレ県、カムェンジェ県)

東部(モロト県、アムダティ県)

コンゴ民主共和国との国境付近(ブリーサ県以北)

南スーダンとの国境付近及びカボング県のケニアとの国境付近

 

東部地域の一部では治安当局と家畜泥棒との間で銃撃戦等がしばしば発生しており、警戒が必要である旨説明があります。西部コンゴ民主共和国との国境地帯ではADFによる襲撃事案やテロ活動が散発的に発生していることから、他地域よりも一段高い危険情報が設定されています。

カボング県では地元部族間の争いがしばしば暴力を伴って行われており、注意が必要であること、また南スーダンとの国境付近では南スーダン難民が流入しており、国連等の支援を得て現地をコントロールしているものの、南スーダン情勢等により治安情勢が急変しうることが記載されています。

 

「レベル1:十分注意してください」が設定されている地域

上記以外の地域

日中は軽犯罪(スリ、ひったくり等)が多く、夜間になると凶悪犯罪(強盗・強姦等)が多く発生していることが記載されています。特に最近は銃器を用いた強盗等の凶悪犯罪が増加傾向にあることから、カンパラ周辺でも夜間の移動を控えるなどアドバイスがなされています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

犯罪発生率の高止まりとテロへの警戒を背景として全土が「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」となっています。

パンデミック前は全土が「十分警戒してください:Exercise increased caution」にとどまっており、コロナ禍を経て一段リスク評価が厳しくなったと言えます。
全土、特に首都カンパラやその他大都市を中心に武装強盗や住居侵入、性犯罪といった凶悪な犯罪が多発しており、十分な注意の上旅行するよう強い注意喚起がなされています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

英国政府はウガンダの大部分に対し、強い注意喚起は設定していません。過去首都カンパラから東側に約90キロほどのジンジャ市に対して一時的に「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」が設定された経緯がありますが、いずれも現時点では解除されています。

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現時点では同国西側コンゴ民主共和国との国境付近クイーンエリザベス国立公園及びその周辺とセムイキ国立公園、キバレ国立公園南側やフォートポータル周辺に他地域よりも一段階レベルの高い「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」が設定されています。観光客も被害に遭っている襲撃事案が発生していることがその背景です。

その他国土の大部分に対しては一般犯罪、凶悪犯罪への注意喚起はありますが、治安情勢からは全土が「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」の対象となっています。

2022年3月29日以降、南西部コンゴ民主共和国との国境付近でウガンダ軍が武装勢力に対する掃討作戦を開始しており、陸路移動の際には十分な注意が必要である旨追記されました。国境を越えてコンゴ民主共和国に入ると英国のトラベルアドバイス上「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」となる点も明記されています。

(参考情報)コンゴ民主共和国のトラベルアドバイス紹介ページ

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付国土の主要部分は「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」にリスクレベルが引き下げられました。

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オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

ウガンダでは北部南スーダンとの国境地域(国境から50キロ)に最高レベルの「渡航を取りやめてください:Do not travel」が設定されています。

次いで西部コンゴ民主共和国国境から50キロの地域(ただし、アルバート湖の東側沿岸は含まない)「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」が設定されています。

これらの特に警戒レベルが高く設定されている地域は国境を越えた武力衝突や地元武装勢力による略奪行為などのリスクがあることが記載されています。

その他の地域では5段階中真ん中の「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」が設定されています。テロの脅威、市民騒擾と犯罪のリスクが存在しており、常に自分自身の安全に留意する必要がある旨記載されています。

6.最近の治安ニュース

ウガンダ国内武装勢力によるテロ警戒(2024年2月29日)

ウガンダ西部国立公園内での観光客襲撃事案(2023年10月17日)

ウガンダ首都路上での日本人強盗致死事案(2023年9月8日)

ウガンダ西部武装勢力によるテロ予告文書の発見(2023年7月)

ウガンダ首都中心部での連続爆破事案(2021年11月16日)

ウガンダ長距離旅客バスでの爆発(2021年10月25日)

ウガンダ首都飲食店での爆発事案(2021年10月24日)

ウガンダ自爆テロ未遂事案(2021年8月26日)

首都カンパラ等での犯罪発生件数の増加、日本人の被害(2021年7月)

2019年6月11日 WHOはウガンダ国内では初めてとなるエボラ出血熱の患者発生を発表しました。流行が続くコンゴ民主共和国から入国した家族が発症しており、男児が死亡しています。

2019年4月2日コンゴ民主共和国との国境に近いクイーンエリザベス国立公園で米国人2名と現地人ドライバーが正体不明の武装グループに誘拐されました。犯人グループは50万ドルの身代金を要求していました。

4月7日、現地警察当局が誘拐された3名を無事救出したと報じられています。

ウガンダ米国人観光客の誘拐事件

 

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