チリ治安最新情報(2024年10月)/海外安全.jp


0.チリにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在チリ日本国大使館 :+56-(0)2-2232-1807

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察 :133

◎救急 :131

◎消防 :132

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

チリに対しては、各国政府とも安全度が高いと評価していますが、直近の反政府抗議活動等への注意への言及も目立ちます。
日本政府外務省も、他の南米諸国と比較して治安が安定しているとの評価を行っています。ただし、近年では犯罪発生件数が増加傾向にあることなどを記載しており、「チリは治安の良い国という意識を見直す必要があり,個々の防犯意識を向上させる必要があります」と日本人に向けて注意を呼び掛けています。
他方で、英語圏三か国は自国の犯罪発生件数も日本より多いためか強い注意喚起は見られません。スリやひったくり等に注意せよ、との記載が目立つ程度です。

【海外安全.jpのコメント】

各国政府とも、チリへ渡航する国民への注意喚起はそれほど強くありません。主としてスリやひったくり、窃盗といった一般犯罪への注意喚起、地震への備えが中心となっています。ただし日本政府外務省は日本に比して犯罪件数が多く、また犯罪が増加傾向であること、さらに、チリでの犯罪には銃器が用いられることも多く、ひったくり被害に遭った場合でも深追いは禁物です。犯罪被害に遭わないよう気を付けるだけでなく、金品以上に重要な命を落とさない行動を心がけるようおススメします。

他方で、2014年に発生したサンティアゴ地下鉄駅での爆弾事件(14人負傷)のような単独もしくは数人の実行犯による小規模な攻撃等、テロに分類できる事件は完全に否定できるものではありません。日本でも呼びかけられているように持ち主不明の荷物やその場にそぐわないふるまいをする人物などには接近しないように十分留意する必要があります。

2.日本政府の危険情報

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全土に対し、特段の注意喚起はありませんが地下鉄の値上げに端を発する抗議活動が全土に広がったことを踏まえ、現在も全土に「レベル1:十分注意してください。」が設定されています。

中南米諸国の中では比較的治安が安定している国と評価されています。しかしながら、最近犯罪が増加傾向にあることが記載されており、拳銃を用いた強盗や夜間突然暴行・強盗を行う、通りすがりに刃物で切り付け金品を奪う、といった凶悪な手口で日本人も被害に遭っている旨記載があります。

基本的な防犯対策として以下8項目が明記されています。

(1)周囲の状況に十分注意する。
(2)歩行中やショッピング中などには,時々振り向くなど,周囲を警戒していることを態度で示す。
(3)不審な人物が近づいてきたら,直ちにその場から離れる。
(4)手荷物は身体から離さず,特に人混みでは,身体の前面で持つようにする。
(5)多額の現金や貴重品は持ち歩かない。外出時は貴金属などを身に着けない,携帯電話やパソコン等を人前で使用しないなど,目立たない服装・言動を心がける。
(6)人通りの少ない場所や,夜間の一人歩きは避ける。
(7)生命と身体の安全を最優先する。強盗に遭っても,相手が武器を持っていることを想定し抵抗しない。
(8)空港や市内両替所で多額の両替・換金をしない。

また、2014年サンティアゴ市地下鉄駅で発生した爆発事案や2019年チリ銅公社会長宛小包爆発事案といった小規模なテロが発生している歴史も記載があります。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

新型コロナウイルス感染症の影響により、引き上げられていたリスクレベルは引き下げられています。他方で、チリ全土で市民らによる騒乱の可能性があるとして現在全土に「十分警戒してください:Exercise increased caution」が設定されています。


全土

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、一時全土が「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」に設定されていましたが、現在は取り下げられています。

現状治安に基づくトラベルアドバイス上では特段の注意喚起はありません。

直近チリ全土、特にサンティアゴで反政府抗議活動が目立つことを踏まえ、注意喚起が太字で明記されています。特に「チリの法律では、外国人が抗議行動やデモに参加した場合、強制送還される可能性があります。」との注意が記載されており、イギリス人に対し抗議活動に近づかないよう呼び掛けられています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日、2022年11月25日と段階的にリスクレベルが引き下げられ、現在は全土が「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」にリスクレベルが引き下げられました。
新型コロナウイルス感染症に関する健康リスクがトラベルアドバイスから除外され、リスクマップ上もパンデミック前のリスク評価となりました。
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オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

チリは全土が5段階中真ん中の「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」の対象となっています。2019年10月の全国的な抗議活動の際にレベルが引き上げられて以降、まだ引き下げられていません。全国的なデモや抗議活動にともなう暴力に注意するよう記載されています。

 

常に最新の現地情報に注意し、デモ等の現場に近づかないよう注意喚起されています。

6.最近の治安ニュース

チリ中西部観光地での邦人ひったくり被害(2024年10月13日)

チリ首都市内日本人の携帯電話ひったくり事案(2024年4月2日)

チリ中部大規模森林火災に伴う非常事態宣言(2024年2月3日)

チリ首都の財団施設での爆発未遂(2023年5月22日)

チリ中南部での大規模山火事(2023年2月)

チリ首都市内爆発物の発見(2022年10月20日)

チリ首都での学生抗議活動の暴徒化(2022年5月27日)

チリ首都ショッピングモール銃撃事案(2021年3月26日)

チリ年金改革を巡る混乱(2020年11月)

チリ首都中心部での抗議活動・暴動(2020年10月)

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