アルメニア治安最新情報(2024年11月)/海外安全.jp


0.アルメニアにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在アルメニア日本国大使館  :+374-(0)11-52-3010

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察  :102

◎救急  :103

◎消防  :101

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

アルメニアに対しては、領土紛争を抱えているアゼルバイジャンとの国境付近および実効支配を受けているナゴルノ・カラバフ地域を除けば、各国政府とも安全度が高いと評価しています。
一般犯罪の発生率も日本と比べれば高いですが、英語圏各国のトラベルアドバイス上は注意喚起がありません。日本政府外務省も犯罪への注意喚起こそありますが、紛争地域以外での注意喚起は他国に比べるとトーンは抑えめです。

【海外安全.jpのコメント】

各国政府とも、アゼルバイジャンとの国境及びナゴルノ・カラバフ地域を除けば、アルメニアへ渡航する国民への注意喚起は最小限です。

両国間の領土紛争は1988年以降長く続いている問題です。(両国間には2023年時点で正式な国交もありません)。軍事的緊張が断続的に高まっており、2016年4月には双方に55名の死亡者を出す軍事的衝突も発生しています。直近では2018年9月にも小規模ながら両国軍の衝突が報じられています。軍事的緊張のある地域への渡航は全くおススメできません。2023年9月以降、これまでアルメニアが実効支配していたナゴルノ・カラバフ地域は現在アゼルバイジャンの勢力下にある点も注意が必要です。

 

他方で、国境地域等を除けばアルメニアは世界的にも治安の安定した国の一つと言えます。一般犯罪の発生率は日本よりも高く、また増加傾向であるため油断は禁物ですが、日本とそれほど変わらない平穏な国であり、過去に大規模なテロも発生していません。他方で、これまでアルメニアが実行支配してきたナゴルノ・カラバフ地域を事実上無抵抗でアゼルバイジャン側に支配されたことを受け、国内で反政府抗議デモ等が散発的に発生している点には注意が必要です。

中央アジア各地からイラクやシリアに渡航したとされる人が多いため、地理的にアルメニア国内にも過激派が流入する可能性を完全には否定できませんが、大規模なテロの標的としてあえてアルメニアを狙う理由は見当たりません。最低限の注意で安全に過ごせる国と言えます。ただし渡航される際には日本政府やオーストラリア政府のアドバイスにあるように「常識的な行動」を徹底し、不必要なトラブルを回避するようおススメします。アゼルバイジャンの最新治安情報もぜひご確認ください。

2.日本政府の危険情報

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「レベル4:退避してください。渡航は止めてください」が設定されている地域

アゼルバイジャンとの国境周辺地域(ナヒチバン自治共和国との国境地域を含む)

「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」が設定されている地域

アララト州、ゲガルクニク州、ヴァヨツ・ゾル州、シュニク州、タヴシュ州

「レベル1:十分注意してください」が設定されている地域

首都エレバンを含む上記以外の地域

 

2020年9月下旬から隣国アゼルバイジャンとの軍事的緊張が高まっていることを踏まえ、国境付近(東側・西側双方)のリスク評価が「レベル3:渡航は止めてください」から「レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」に引き上げられました。加えて、アゼルバイジャンが実効支配を行っているナゴルノ・カラバフ地域はアルメニアの危険情報地図には記載されていませんが、アゼルバイジャンの危険情報地図にて「レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」が設定されています。

領土に関する隣国との係争が未解決であり、国境周辺地域は軍事的な緊張が高い状況である点強調されています。ただし、ロシアの仲介によるアゼルバイジャンとの停戦合意に基づき軍事的緊張は一時期と比べ緩和されていることを踏まえ2021年12月7日付で首都エレバンを含む西部のリスクレベルは「レベル1:十分注意してください。」まで引き下げられました。2023年9月にナゴルノ・カラバフ地域でアゼルバイジャンとの軍事衝突が発生したことが随時アップデートされています。ただし、危険情報の変更までには至っていません。

一般論としてアルメニア国内での一般犯罪等は少なくはありませんが、世界的に見れば犯罪発生率が高いわけではなく、常識的な注意をすることが推奨されています。他方で、過去政治的なデモ等が大規模化した経緯があることから、政治情勢、市民運動等の動向に常に注意を払う必要がある趣旨の記載がなされています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー


ナゴルノ・カラバフ地域

アゼルバイジャンとの国境地域

その他の地域

 

隣国アゼルバイジャンによって実行支配されており、武力衝突の恐れがあるナゴルノ・カラバフ地域を除けば旅行は可能なレベルの注意喚起が設定されています。国土の大部分は「十分警戒してください:Exercise increased caution」の対象です。

2023年以降大使館員らの国内移動に関し徐々に規制を緩和している旨記載がありますがナゴルノ・カラバフ地域を含むアゼルバイジャンとの国境付近への立ち入りは依然禁止している旨明記されています。

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4.イギリス政府のトラベルアドバイス

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アゼルバイジャンとの国境付近(国境から5キロ)に「渡航を推奨しません:Advise against all travel」が設定されています。なお、この地図には記載されていませんが、アゼルバイジャンが実効支配しているナゴルノ・カラバフ地域では万が一緊急事態が発生し、イギリス人が同地域に取り残されたとしても有効な救出手段が提供できない可能性がある旨明記されています。

 

これ以外の地域に対しては特段の注意喚起はなく、犯罪発生率は低いとの記載もあります。首都エレバンや主要都市での政治的集会には注意が必要とされていますが、「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」とされています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。
2021年11月1日付、2022年11月9日と順次リスクレベルが引き下げられ、国土の主要部分が「一般的な注意を払ってください:Exercise normal safety precautions」に設定されました。ただし、国境付近での隣国アゼルバイジャンとの緊張が続いていることを踏まえ新型コロナウイルス感染症とは別にアゼルバイジャンとの国境から5キロのエリアに対し「渡航を取りやめてください:Do not travel」が設定されています。
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現状リスクレベルを地図に反映した図が掲載されていませんが、文章の内容は以下は新型コロナウイルス感染症拡大前のリスクマップと同じです。

 

オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

アルメニアに対してはアゼルバイジャンとの国境付近(西側、東側双方)とナゴルノ・カラバフ地域に対して、最高レベルの「渡航を取りやめてください:Do not travel」が設定されています。

 

これ以外の地域は下から二番目の「一般的な注意を払ってください:Exercise normal safety precautions」となっており、特段の注意喚起はありません。ただし、常識に従って、不審な動きをする人物や不審物があれば警戒するように呼び掛けています。

6.最近の治安ニュース

アゼルバイジャンによるナゴルノ・カラバフ地域攻撃(2023年9月)

アルメニア首都マーケットでの爆発(2022年8月14日)

アルメニア首都での衝突(2022年5月30日)

アルメニア・アゼルバイジャン停戦合意を巡る動き(2020年11月10日)

アルメニアとアゼルバイジャン及び仲介国ロシアの3か国間で軍事的紛争終結に関する協定が締結されました。協定はロシアの平和維持軍が紛争の発端となったナゴルノ・カラバフ地域周辺に展開し、アルメニア軍は撤退するという内容とのこと。アルメニア首相が「苦痛を伴う」との表現を用いる等、事実上アルメニア政府が敗北を受け入れる形との評価が一般的です。

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