海外の事業現場、留学先等から帰国を決める基準

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自分の身を守る最終手段は安全な国外避難

新型コロナウイルス感染症の影響で、世界的に影響が広がっています。今回のような新型ウイルスによる疾病の場合、世界のどこにいても「安全」とは言い切れません。しかしながら国籍を有する国に滞在している場合は国家からのサポートを得やすいと言えます。日本では世帯ごとへの給付金であったり、マスク等の医療物資の供給も受けることができます。

 

外国に滞在している場合、それがたとえ長期滞在で土地勘がある方でも、また永住権を認めるビザ保有者の方であっても国家による支援が自国民と全く同等ということはあり得ません。まして、旅行や短期留学等、ごく一時的にその国に滞在している方にとっては、国家による支援があるのかないのかを確認するだけでもハードルがあると言えるでしょう。

また、日本人の方にとってみれば、日本以上に医療レベルが進んでいる国は世界でも数少ないと言えます。医療費の在り方や地域ごとの医師の偏在等、日本の医療体制にも課題はたくさんあるでしょうが、それでも今回のような緊急事態下ではまず自分の国に戻るというのが安全や健康確保のためにも重要と言えるでしょう。

 

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4月12日時点の新型コロナウイルス感染状況(米・ジョンズホプキンス大のウェブサイトからキャプチャ)

 

こうした背景も踏まえれば緊急事態の際、安全確保のためにもまず滞在国からの避難、日本への帰国を検討されることをおススメします。参考情報として、新型コロナウイルス感染症に関して、日本政府は異例ともいえる「帰国勧奨」を行っています。

 

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日本政府外務省がアフリカ滞在中の日本人に速やかな帰国を呼び掛ける注意喚起

 

ただ、「危ないから国外に避難してください」と言われてもそう簡単ではないよ、というケースもよくあろうかと思います。そういう方のために、滞在中の外国から避難を検討する際の検討材料をご紹介します。

 

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国外避難を決断する条件とは

海外滞在中になんらかの危険が生じたので帰国しなさい、と言うのは簡単です。

他方で、海外に滞在するということは、なにかやるべきことがあり、お金や時間といった何らかのコストをかけて滞在しているわけです。「危ないから日本に帰れ」と言われてもそう簡単じゃないよ!という方もいらっしゃるのではないでしょうか?それでもご自身の安全や健康が失われてしまっては、本来の目的も達成できなくなってしまいます。滞在先から避難するかどうか、日本へ帰国するかはそんなに簡単に結論が出せるものではありません。

 

結論を出すもなにも、何を基準に検討するのか、もわからないよ!という方もいらっしゃるかもしれません。

 

そんな時に参考になる検討材料をご紹介しましょう。

まずご紹介したいのはイギリスにあるオーストラリア大使館がイギリスに残るオーストラリア人に対して発した以下の質問。自分で決断するために、あなた自身に問いかけてください、との表題になっています。

 

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・母国(オーストラリア)に私の助けを必要としている人はいますか?

・ここで私を助けてくれる人たちの人脈はありますか?

・イギリスで自分の身を自分で守れますか?

・イギリス滞在に必要なビザは確保できていますか?

・安全に滞在し続けることができる場所は確保できますか?

 

という設問が並んでいます。

 

まずはこうした問いかけに対してご自身で考えていただくことが大切です。オーストラリア大使館が最初に書いている通り、またツイッターの本文で書いている通り

 

「避難するかどうかはあなた自身のために決断しなければらない」

(You need to decide for yourself)

「政府があなたのために決断することはできない」

(Simply, we can’t decide for you)

 

のです。

誰かに避難するかどうかを決めてもらうのではありません。誰かが助けに来てくれるのを待っていてもいけません。

 

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国外避難する際のチェックポイント

 

仕事や留学、あるいは短期的な出張や休暇など、海外に滞在する理由は様々です。

滞在する理由があって、海外に渡航された方が

 

安全に問題があるかもしれない、

健康上問題が生じるかもしれない、

住居やホテルから身動きが取れなくなるかもしれない、

 

と言われてもそう簡単に国外に避難するという決断はできないと思います。前のページで紹介した在英オーストラリア大使館のアドバイスに加えて、避難するかどうか検討材料を改めて整理しておきます。ご参考になっていれば幸いです。

 

・現在発生している危険が拡大傾向にあるか?

・滞在目的(仕事や学業、観光等)が達成できなくなる可能性があるか?

・外国人、アジア人、日本人等、ご自身のその国での属性に対する反感が盛り上がっていないか?

・自分が取りうるリスクの許容範囲を超える可能性があるか?

・民間人がチケットを確保できる国外への商用便(航空機、船舶等)が止まる可能性はあるか?

・空港や港湾等、国外への移動手段まで安全にたどり着けなくなる可能性はあるか?

・大規模デモや軍によるクーデター、長期の外出禁止令等で住居やホテルから移動できなくなる可能性は大きいか?

・飲食料品や日用品が買えなくなる等、日常生活が継続できなくなる可能性はあるか?

・滞在国で緊急事態が発生した際、安全確保、医療体制、生活面等で支援を十分に受けられる状態か?

・日本大使館や他国の大使館が外国人に国外避難を呼びかけていないか?

・日本に戻って対応しなければならないことがないか?

 

 

この項終わり