海外事業現場の安全管理、どのリスクから対応すべきか

この記事のURLをコピーする

Risk Matrixは「リスク」評価だけのツールではない

 

前回の記事で、関係者に伝えるべき情報の優先順位づけに、Risk Matrixが有効であることをご紹介しました。このRisk Matrixは国連関係機関の安全対策を担当しているUNDSS(UN Department of Safety and Security)も世界各地の安全対策のために活用しているものです。

 

前回お伝えしたようにRisk Matrixはこれまでなんとなく「リスク」ととらえてきたものを見える化し、本当に対策が必要な脅威要因が何か、を分析するには最適のフレームワークと言えます。皆さんの企業/団体が渡航する場所、自分たちが活動している場所で、リスクの優先順位付けができない、という方はぜひRisk Matrixを活用して導き出してみてください。

 

risk-matrix-2014-pakistan
2014 年時点のパキスタンで日本企業が直面している「リスク」をRisk Matrix上に落とし込んだもの

 

もう一度復習すると、縦軸は想定されるリスクがどの程度の頻度で発生するのかを表しています。横軸は想定されるリスクが発生した際、現時点でどの程度深刻な被害が発生しうるかを表しています。二つの軸で整理することで、滅多に起こらないけれども万が一発生すると一大事になってしまうリスクと見過ごしがちだが、それなりの頻度で発生しており対処したほうがよさそうなリスク、の総合的な「リスク」比較ができます。また、表にして整理することで、まったく見落としているリスクがないかを改めて検討しなおすという点でも役立ちます。

 

ただし、このRisk Matrixが優れている理由は総合的な「リスク」を踏まえて優先的に対応すべき脅威要因を明確にできるからだけではないのです。なぜなら、Risk Matrixを作ることにより、皆さんに必要な安全対策の項目も同時に浮き彫りになってくるからです。

 

 

【次ページでは・・・脅威が明確になれば必要な安全対策手法も見えてくる!】