テロ/犯罪への注意は怠らない!
ご説明してきた通りクリスマスシーズンのテロの可能性が否定できないという背景があります。加えて、こうした祝祭ムードの高まる時期は人々がやや浮かれた状態で大勢集まるシーンが増えます。警戒心が薄い人が多く集まり、財布や携帯等を盗むにはもってこいの状況とも言えますね。
こうした状況を見逃さない人たちもいます。そう、スリやひったくり等の一般犯罪を試みる人達にとってクリスマス~年末年始はかきいれ時といっても過言ではありません。そういった人たちにとって、レストランやカフェでスマホや荷物で席を確保する人たちはどのように映るでしょうか?ズボンのポケットから財布が飛び出ている人は?歩きスマホで周囲を全く警戒していない人は?ATMや銀行でそれなりの金額の現金を下ろしてそのまま買い物に行く人は??
テロは武器や戦闘員の準備、事前の下見や予行演習が欠かせませんので、そう簡単に実行できる犯罪ではありません。他方で、スリやひったくりはやろうと思えば「獲物」を見つけた時点で実行に移すことができる犯罪です。警戒心の薄い人がいれば、いつでもどこでも犯罪行為が始まるとも言えます。
普段以上に「獲物」を狙っている人がイベント会場周辺等に集まっている状況では、警戒心の薄い人から順番に狙われていきます。警戒心の薄い人上位に入らないよう、楽しいホリデーシーズンではありますが、最低限の警戒心を解かないようおススメします。
テロと犯罪双方に注意が必要ですよ、という意味で欧州各国に所在している日本政府在外公館から例年以下のような注意事項が滞在者に向けて発表されていますので改めて情報共有します。
(1)テロに対する注意
(ア)最新の関連情報の入手に努める(新聞,ラジオ等に加え,警察が発信するTwitterなどソーシャルメディアの情報も有益)。
(イ)クリスマス・マーケット等人が多く集まる場所,公共施設(駅や空港等を含む)や公共交通機関がテロの標的となりやすいことを十分認識する。
(ウ)訪問先では,まず先に避難経路を確認するとともに,周囲の状況に注意を払い,不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる,できるだけ滞在時間を短くする等,その場の状況に応じた安全確保に十分注意を払う。
(エ)治安当局の指示があればそれに従う。避難等の際には,現場の警察官等の指示をよく聞き,周囲がパニック状態となっても冷静さを保つように努める。(2)スリ等一般犯罪に対する注意
(ア)多額の現金・貴重品を持ち歩かない(現金は必要な分だけ複数箇所に分散して持つ)。また,現金や旅券等はチャックやボタンの付いた衣服の内ポケット等に別々にして携行する。
(イ)カバンやバッグはボタンやファスナーを閉めて前に掛けるか脇に抱えて持つ(身体から離さない)。
(ウ)見知らぬ人物から話しかけられてもむやみに信用しない。突然ぶつかられたり,話しかけられたりした場合や,署名運動への協力の呼びかけなども警戒する。
(エ)単独での外出や,夜間の外出,人通りの少ない道は避ける。また,夜間の移動はなるべくタクシーを利用する(「mytaxi」などの配車アプリを利用)。
なお、日本政府だけではなく、イギリス政府も11月26日付で欧州各国19か国の国別トラベルアドバイスにクリスマス前後のテロに警戒するよう記載をしています。また、2021年11月14日に発生したイギリス中部リバプール市内病院での爆発発生を受け、翌15日にはイギリス国内のテロ警戒レベルが一段階引き上げられています。
2020年の記事ではありますが、英Sun誌がその時点でのイギリス政府注意喚起を地図に反映した図がわかりやすいので改めて掲載させていただきます。
この項終わり