エジプト治安最新情報(2024年3月)/海外安全.jp


0.エジプトにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在エジプト日本国大使館  :+20-(0)2-2528-5910

◎警察   :122

◎観光警察 :126(観光地における被害の場合)

◎救急   :123

◎消防   :180
(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

エジプトに対しては各国政府とも比較的高いレベルの注意喚起が行われています。特にアメリカおよびオーストラリア政府は全土で極めて高いレベルのトラベルアドバイスを設定しており、首都カイロをはじめ観光地に対しても渡航を控えるよう呼びかけている点に特徴があります。日本とイギリス政府主要観光地を含むエリアに対し、渡航の再検討や立ち入り自粛を呼び掛けてはいませんが文章で細かく注意事項を記載しています。

現在でもISISに関連するグループによるものと思われるテロが発生していること、また西部砂漠地帯では反政府武装勢力と政府軍の衝突も発生していることから、いずれの政府も渡航を推奨していない地域があります。加えて、外国人を標的にしたスリやひったくり、誘拐事件も発生している旨、いずれの政府も記載しており、強い注意喚起が発せられています。

【海外安全.jpのコメント】

エジプトでは特にシナイ半島およびナイル川よりも西側~リビア国境にかけてはテロを含む武装勢力の活動に巻き込まれないよう注意が必要です。よほどの理由がなければこれら地域に立ち寄ることはおススメしません。もし立ち入る場合には現地事情に詳しい専門のガードを雇用することが推奨されます。

ナイル川沿いに点在する各観光地に対しては、日本政府とイギリス政府は最低限の注意喚起としています。ただし、オーストラリア政府はこれら観光地も含め全土に厳しい治安評価を設定しており、アメリカ政府も強めの注意喚起が設定されています。 2018年もエジプト市内でテロに分類される事件が散発していることを踏まえたとえ日本政府外務省が設定する「レベル1:十分注意してください」の地域であっても他国のアドバイスも参照するなど、現地のリスクをよく理解した上で渡航することをおススメします。

2.日本政府の危険情報

日本政府外務省は2018年6月28日付でエジプトの危険情報を一部引き下げています。ナイル川沿いの観光地がほぼ全域「レベル1:十分注意してください」となっています。

「レベル3:渡航は止めてください」が設定されている地域

・北シナイ県、南シナイ県 (アカバ湾に面したダハブからシャルム・エル・シェイクまでの沿岸地域を除く)

・リビア国境地帯

「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」が設定されている地域

・西部及び南部の砂漠地帯 (地中海に面したマルサ・マトルーフからアレキサンドリアまでの沿岸地域を除く)

「レベル1:十分注意してください」が設定されている地域

大カイロ都市圏を含む上記以外の地域

  エジプトでは直近全土でISILの関与が疑われるテロがしばしば発生しています。特にシナイ半島では「ISILシナイ州」を名乗る組織が活発に活動しており、日本政府外務省として危険情報のレベルが高く設定されています。テロの標的となっているのは主として警察や教会・モスクですが、観光客が多く集まる場所でのテロも発生している旨明記されています。 また、西部および南部の砂漠地帯からリビア国境にかけてはエジプト軍と反政府武装勢力の武力衝突も発生している状況です。エジプト観光協会は所属の旅行会社に対し,2014年10月4日から西部及び南部方向への全ての砂漠旅行を中止するよう通達を出している旨記載されており、同地域に対しては「不要不急の渡航を止める」よう注意喚起が出されています。  

テロを除いても、過去に多くの日本人がエジプト国内でスリやひったくり、詐欺等の被害が発生している点実例と共に記載されています。過去の被害実例を踏まえて具体的に犯罪被害に遭わないためのアドバイスは以下の通りです。

(1) 早朝,夜間や人の少ない場所での単独行動は避ける。

(2) 必要以上の現金は持ち歩かず,また,現金や貴重品は分散して携行する。

(3) 公共交通機関を利用する際には,特に貴重品の管理に気を付ける。

(4) タクシーを利用する際は,深夜・早朝の時間帯や周辺に誰もいない場所での流しのタクシー利用や,1人での利用を避ける。

(5) 宿泊施設について,同行者以外の旅行者と共有部屋に宿泊する場合には,特に貴重品の管理に注意を払う。

(6) 空港や街頭で声をかけてきた人や現地で親しくなった人を安易に信用せず,相手の言うがままに行動しない。  

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

新型コロナウイルス感染症の影響によるリスクレベルへの影響は現時点では解除されています。コロナウイルス感染症拡大前に比べテロに対し十分な警戒が必要として国土の主要部分の注意喚起が一段引き上げられています。

・シナイ半島全域(シャルム・エル・シェイクへの空路移動を除く)

・西部砂漠地帯

・エジプトとリビアの国境地帯 いずれもテロや武装勢力との武力衝突による危険が高いため上記地域には「渡航を中止してください: Do not travel」が設定されています。

上記を除く全土に「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」が設定されています。

渡航する場合には滞在地の最新情報に常に注意をすること、デモや集会に近づかないことが推奨されています。  

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

現在は地域ごとの治安情勢に基づき以下のリスクレベルが設定されています。

北シナイ県及び西隣リビアとの国境から20キロの範囲内に対しては最高レベルの警戒を示す「渡航を推奨しません:Advise against all travel」が設定されています。

南シナイ県の一部(シャルム・エル・シェイク等)を除く地域、およびナイル川よりも西側の大部分に対しては、「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」が設定されています。また、南部スーダンとの国境付近でエジプトが実効支配しているHala’ib Triangleについても「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」が設定されています。

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エジプト全土でテロの警戒が高いレベルで必要であると記載されています。ウェブサイトやSNS等で欧米人や欧米企業等への攻撃を呼び掛ける記述がなされていること、またシナイ半島や国内各地のコプト教教会などへの攻撃が多く発生していることが記載されています。

これを踏まえ、混雑した場所、宗教的な施設(特にラマダンやクリスマスシーズン)への立ち寄りを避けるようアドバイスがあります。

なお、2024年1月イエメンを拠点とし、紅海周辺で商船等の襲撃、近隣国へのロケット砲発射等を続ける武装勢力フーシ派に対し、米英連合軍が空爆を行いました。事実上の軍事衝突が発生している状況とも解釈でき、情勢が急変する可能性も否定はできません。英国政府は1月12日付で中東一円18の国と地域のトラベルアドバイスを更新し、「状況によってトラベルアドバイスが急に変更される可能性がある」との記載を追加しています。

 5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付で国土の大部分が「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」にリスクレベルが引き下げられました。
 
2022年11月4日付で紅海に面した観光地シャルム・エル・シェイクのリスク評価が引き下げられ「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」に設定されました。新型コロナウイルス感染症拡大前よりもリスクレベルが低く設定されるようになっています。
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最も危険度の高い「渡航を取りやめてください:Do not travel」が北シナイ県及びリビアとの国境から50キロの地域に設定されています。

紅海に面した観光地シャルム・エル・シェイクには「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」が設定されています。それ以外の地域は全土が五段階評価で上から二番目の「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」とされており、首都カイロを含め渡航は推奨されていません。全土でテロと誘拐の危険性がある旨明記されています。  

もし立ち入る場合には、テロや誘拐のリスクを十分に把握し、現地のニュースを常時チェックする、混雑した場所を避ける、常に避難経路を確認する、といったアドバイスがなされています。

6.最近の治安ニュース

米英連合軍によるイエメン武装勢力空爆の影響(2024年1月12日)

エジプト北東部リゾート地ターバでの爆発(2023年10月27日)

エジプト観光地での警官によるイスラエル人観光客射殺事案(2023年10月8日)

エジプトカイロ郊外での銃撃戦(2020年4月14日)

 

2020年1月3日にアメリカ軍はイラン軍幹部をイラク国内バグダッドでのドローン攻撃によって殺害しました。8日にはイラン軍がイラクにあるアメリカ軍拠点二か所に対し弾道ミサイルを撃ち込む報復攻撃を実施しました。中東を中心として情勢は不安定になっており、各国政府も自国民に対し、身の安全を守るため警戒を高めるよう呼びかけています。

カイロ市内自動車爆弾テロ(2019年8月5日)

2019年8月5日カイロ市内の国立がんセンター周辺で自動車に搭載した爆発物が爆発し、少なくとも17名が死亡、32名が負傷しました。

 

2019年5月19日ギザのピラミッド、大博物館付近の道路で爆発が発生し、外国人旅行客の乗ったバスが巻き込まれました。速報によると少なくとも16名が負傷しているとのこと。

2019年4月9日シナイ半島のシェンマイシィナ付近の軍検問所で自爆テロが発生しました。治安部隊関係者を含む7名が死亡、26名が負傷しています。犯人は15歳の少年と報じられており、ISシナイ半島支部が犯行声明を発表しています。

2019年2月18日首都カイロ市内アズハルモスク付近で自爆テロが発生し、警官2名が死亡、3名が負傷しました

2018年12月28日現地時間夜首都カイロからギザ地区へ向かう道路沿いで簡易爆弾が爆発し、ベトナム人ツアー客を乗せたバスが被害に遭いました。ベトナム人3人を含む4人が死亡、10名が負傷しています。

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