テロや犯罪に「クリスマス・年末休暇」はない

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2022年のホリデーシーズンが佳境に

いよいよ2022年も終わりが見えてきました。欧米各国を中心に徐々にクリスマスムードが高まってきており、感染症対策の緩和が進む世界各地の都市部ではクリスマス市やクリスマスパレードの開催も目立つようになっています。

クリスマスは言わずと知れたキリスト教社会の重要な祝祭イベントです。特段クリスチャンが多いわけではない日本でも完全に定着したイベントと言ってもよいため、日本人の方が各地のクリスマスイベントに参加することもあろうかと思います。当サイトとして、「危ないからクリスマスイベントには言ってはダメ」というほどう良い注意喚起を発する理由はありません。むしろ旅先、あるいは駐在先での楽しみの一つ、異文化体験として楽しんでいただければいいのではないかと考えております。他方で、まったく無防備でいいわけでもないため楽しむ際には一定の注意力を保つこともおススメします。

 

キリスト教以外の国でも暦年の区切りである年末年始には祝祭イベントが予定されています。盛大なカウントダウンイベントが行われる場所もあれば、年が変わると同時に祝砲を撃つ風習がある地域もあります。特段宗教的、文化的な行事がなくてもナイトクラブなどでどんちゃん騒ぎをする方も多いかもしれませんね。

 

ただし、祝祭ムードで警戒心の薄い市民や観光客が大勢集まる場面は警備が難しくなります。加えて、キリスト教の象徴的なイベント会場でテロを起こし、より多くの被害を出すことで注目を集めたいと考えるグループが存在していることも事実です。

 

クリスマス市や各種クリスマスイベントへの参加そのものは問題ありませんが、各国の状況や人の集まり具合、現地警備体制等に応じ、警戒心を置いてきぼりにしないようおススメします。

 

当サイトでは繰り返し、一般論としてテロやデモのリスクが高まるイベントはある程度想定できる、ということをお伝えしてきました。2022年12月及び来年2023年に行われるリスクイベントで既に判明しているものを入力したリスクカレンダーはコチラで無料公開中です。年内の主要なリスクイベントはクリス関連を残すのみ、となっており改めてクリスマスシーズンでの注意事項をご紹介します。

 

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過去のホリデーシーズンテロの事例

ここ数年、毎年のように欧米諸国でクリスマスシーズンにテロが発生しています。大きく報道で取り上げられたことのある事件だけでも以下のような事例が挙げられます。

 

2016年ドイツベルリンのクリスマスマーケット車両突入事件

2017年アメリカニューヨークタイムズスクエア爆破事件

2017年イギリス中部クリスマスイベント標的テロ未遂事件

2018年フランスストラスブール銃撃事件

2019年ウイーンクリスマス市テロ未遂事案

2019年オーストラリアメルボルンクリスマス市テロ未遂事案

2021年アメリカクリスマスパレード車両突入事案

2022年アメリカミシシッピ州クリスマスパレード付近銃撃事案

2016年大型トラックがドイツ首都ベルリンのクリスマス市に突入(BBCのウェブサイトよりキャプチャ)

 

クリスマスはイスラム教の過激派から見れば自分たちを攻撃している「異教徒」の宗教行事と解釈されます。また、世界的にもシンボリックであるため、攻撃の対象として大義を説明しやすく、また被害が大々的に報道される可能性が高いので、攻撃の優先度も高いイベントです。

特に今年2022年の場合は感染症対策を理由に、この数年間中止や規模縮小が続いてきたクリスマスイベントの本格復活初年度です。そもそも人が集まるような「標的」がなかった2020年、2021年と比して、欧米はもちろん日本でも人出の回復は明確。人々がクリスマスイベントを待ちわびるエネルギーが溜まってることは想像に難くありません。同時に犯罪者側も何らかの悪事を働く上で待ちに待ったイベントシーズンの到来と解釈することだってできます。

 

こうした状況を受け、例えばドイツ国内の日本国大使館・総領事館は11月下旬から次のような注意喚起を発しています。ドイツ以外の国、東南アジアやアフリカでも日本国大使館・総領事館から年末年始前後での犯罪の増加に注意するよう呼びかけが広くなされています。

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いかがでしょうか?一般的にクリスマスシーズンからお正月前後には多くの方が徐々に開店休業状態になり、大型連休という方も少なくありません。同僚や取引先の方とも12月も後半になると「ではまぁ年末ですしまた来年に…」というやり取りもよく耳にしますよね。

 

なぜテロや犯罪には休暇がないのか?を改めて考えてみましょう。

 

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テロ/犯罪には休暇はない!

なぜ、テロや犯罪がクリスマスから年末年始にかけて増える可能性が指摘されるのでしょうか?パッと考えるとせっかくの祝日なのですから、犯罪を企てる人・組織もお休みにしてもおかしくないのですが…。

 

テロや犯罪が休暇シーズンに増える理由の一つは、警戒心が薄い人が多く集まりやすいということが挙げられます。例えば、クリスマスマーケットや酉の市等気分が高揚した状態でお金を使う気のある方が集まる場所は財布や携帯等を盗むにはもってこいの状況です。

こうした状況を見逃さない人たちもいます。そう、スリやひったくり等の一般犯罪を試みる人達にとってクリスマス~年末年始はかきいれ時といっても過言ではありません。そういった人たちにとって、レストランやカフェでスマホや荷物で席を確保する人たちはどのように映るでしょうか?ズボンのポケットから財布が飛び出ている人は?歩きスマホで周囲を全く警戒していない人は?ATMや銀行でそれなりの金額の現金を下ろしてそのまま買い物に行く人は??

 

テロは武器や戦闘員の準備、事前の下見や予行演習が欠かせませんので、そう簡単に実行できる犯罪ではありません。他方で、スリやひったくりはやろうと思えば「獲物」を見つけた時点で実行に移すことができる犯罪です。警戒心の薄い人がいれば、いつでもどこでも犯罪行為が始まるとも言えます。

 

普段以上に「獲物」を狙っている人がイベント会場周辺等に集まっている状況では、警戒心の薄い人から順番に狙われていきます。警戒心の薄い人上位に入らないよう、楽しいホリデーシーズンではありますが、最低限の警戒心を解かないようおススメします。

 

また、幸せなモードで周囲への注意力が散漫になるシーズン、そして贈り物等の箱を持っていることが全く不自然ではない状況は爆発物や銃等の入ったカバンや箱も目立ちません。なにより人々の警戒感の薄い人が多く集まる場所でテロが成功すれば大きな話題にもなりますね。

 

2019年、コロナ禍が始まる前の在ドイツ日本国大使館から配信された注意事項は今年も有効ですので改めて共有したいと思います。

(1)テロに対する注意
(ア)最新の関連情報の入手に努める(新聞、ラジオ等に加え警察が発信するTwitterなどソーシャルメディアの情報も有益)
(イ)クリスマス・マーケット等人が多く集まる場所、公共施設(駅や空港等を含む)や公共交通機関がテロの標的となりやすいことを十分認識する
(ウ)訪問先では,まず先に避難経路を確認するとともに、周囲の状況に注意を払い不審な人物や状況を察知したら速やかにその場を離れる、できるだけ滞在時間を短くする等、その場の状況に応じた安全確保に十分注意を払う
(エ)治安当局の指示があればそれに従う。避難等の際には、現場の警察官等の指示をよく聞き、周囲がパニック状態となっても冷静さを保つように努める

(2)スリ等一般犯罪に対する注意
(ア)多額の現金・貴重品を持ち歩かない(現金は必要な分だけ複数箇所に分散して持つ)。また,現金や旅券等はチャックやボタンの付いた衣服の内ポケット等に別々にして携行する。
(イ)カバンやバッグはボタンやファスナーを閉めて前に掛けるか脇に抱えて持つ(身体から離さない)。
(ウ)見知らぬ人物から話しかけられてもむやみに信用しない。突然ぶつかられたり,話しかけられたりした場合や,署名運動への協力の呼びかけなども警戒する。
(エ)単独での外出や,夜間の外出,人通りの少ない道は避ける。また,夜間の移動はなるべくタクシーを利用する(「mytaxi」などの配車アプリを利用)。

 

なおこうした注意喚起は

新型コロナウイルス感染症が大きく問題になる前、2019年の記事ではありますが、英Sun誌がその時点でのイギリス政府注意喚起を地図に反映した図がわかりやすいので改めて掲載させていただきます。

2019年11月にクリスマス関連のテロが懸念されるとしてイギリス政府が注意喚起した内容を基に作成された地図(英Sunのウェブサイトよりキャプチャ)

 

 この項終わり