忙しい時に記録を取るのは至難の業
緊急事態発生時に記録を取ることの重要性をお伝えしましたが、「言うは易く行うは難し」。実は緊急事態の対応記録を取ることは極めて難易度の高い作業です。え、記録を残すだけでしょ?何がそんなに難しいの?とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。実際にやってみると本当に難しいのです。
その理由は大まかに二つ。
一つは各種の突発的な対応をこなすのに忙しすぎて記録をとる時間が確保できないから。
もう一つは短期間にインパクトの強い、大量の経験をするため、後から冷静に思い出そうとしても順序や事実関係が正確に描写できなくなるから。
手っ取り早く新型コロナウイルスの対応を思い出していただければと思います。皆さんの職場やご家庭での対応だけでも急な事態の変化についていくのせ精一杯ではありませんでしたか?まして対応の中心になっている厚生労働省や各都道府県、医療機関、学校などの担当者はもっと右往左往していることは想像に難くありません。あちこちから指示が飛んでくる、別のところからはクレームが飛んでくる、といった状況下では、記録を取るという行為は後回しにされがち。それがたとえ重要だと分かっていたとしても・・・。です。
せっかくなので今回の新型コロナウイルス関連の記録として重要な出来事をまとめておきましょう。
2019年12月上旬 武漢で最初の肺炎症例の確認(武漢)
2020年1月6日 新型コロナウイルスの発表
2020年1月15日 日本国内での感染第一例の確認(武漢からの帰国者)
2020年1月18日 中国春節期間開始
2020年1月23日 武漢封鎖
2020年1月28日 日本国内で新型コロナウイルスに感染した症例の確認(武漢からの観光客を案内したバスドライバー)
2020年1月29日 日本政府チャーター機による武漢周辺在留日本人の救出開始
2020年1月31日 WHO緊急事態宣言
2020年2月12日 日本政府外務省、中国滞在中の日本人に対し一時帰国、渡航延期の検討勧告
2020年2月13日 日本国内で新型コロナウイルス感染が原因と思われる死者発生
2020年2月25日 日本政府、国内での大規模イベント等自粛要請
2020年2月27日 日本政府、3月2日~春休みの小・中・高に対する休校要請
2020年2月29日 イタリアと韓国の患者数が急増し、アメリカ政府が両国への自国民への渡航延期を勧告
急速な事態の進展に対し、皆さんの記憶は正確に残っていますでしょうか?代表の尾崎がこのコラム文案を読んだ際の最初の一言は
「緊急事態対応をやったことがある人はそれなりにいる。
でも、その対応経験を文字にして、そこから教訓を得た人は少ない。
そういう貴重な教訓を次々と積み上げている人はもっと少ない。
だからどんなに忙しくても記録を残す人は強い。
記録を残す人を指名して組織的に対応する組織は強い。」
というものでした。
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