【注意喚起】フランス革命記念日前後の混乱

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高リスク日注意喚起

フランスでは7月14日に革命記念日を迎えます。1790年、当時の国王であったルイ16世が憲法への忠誠を誓い、革命が成立しました。この日に合わせ、フランスはもちろんのこと、世界各地のフランス大使館等でも記念行事が行われることになっています。

 

国民の多くがお祝いを行う祝祭日であり、また各地で大規模なお祭りイベントが開催されるこうした機会はリスクが高まる要因の一つです。実際に「コロナ前」の2016年の革命記念日当日はフランス南部の都市ニースでイスラム過激派に感化された者がお祭りイベントの花火を見ようと集まった人々に向けてトラックを暴走させるテロを起こし、86名が死亡、約460人が負傷しました。フランスではなくアメリカでの出来事ですが2022年7月4日の独立記念日パレードに対する銃撃事案も発生していることも申し添えます。

 

ニーストラック暴走テロを報じるTIME誌ウェブサイトの写真からキャプチャ

 

過去ヨーロッパで大きな被害が発生したテロには、マンチェスターでのコンサート会場自爆テロの事例もあります。上記ニースの事例でもわかる通り、以下の3つの要素が重なると数十人から数百人規模の死傷者が発生する大きな被害が発生しかねません。

 

・多くの人が(無防備かつやや浮かれた状態で)集まる

・警備が比較的手薄な場所が存在する

単独もしくは少数の人間が車両やナイフ等手近なものを武器として活用する

 

ISやイスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)等のイスラム過激派組織はフランスに対し、攻撃のターゲットにすることを明確に示しています。コロナ禍を経て、「巣ごもり」時間中にインターネット利用時間が長くなったこともあり、国際テロ組織や極右グループ等によるプロパガンダに触れる若者らが増えているとの指摘もなされています。過去にフランスではISに影響されたと思われる犯人・犯行グループによるテロ事件が発生していること、また革命記念日当日はパリやニースに限らずフランス各地で「多くの人が集まる」「警備が比較的手薄な場所」が増える日です。

ISIS-and-alqaeda
アフリカや南アジアを中心にISISやアルカイダの勢力が増えている地域も多い(CriticalThreatグループの調査報告書からキャプチャ)

 

フランス国内、特に革命記念日/パリ祭イベントへの参加を一切控えなければならない状況ではありませんが、参加する場合には

 

周囲の不自然な動きがないか、

万が一に備えた避難経路を確保できるか、

緊急事態が発生した際に素早く行動できる服装か、

 

といった点にはあらかじめ気を配っていただくようおススメします。

マンチェスターのテロ事件では爆発現場から10メートル以内に死者が集中しています。不審な人物を見つけた場合、その場を速やかに離れるだけでも死亡するリスクを低減できる可能性があります。少しの違いが皆さんの制止、あるいは怪我の深刻さに影響しうる点改めてご注意下さい。

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もう一つのリスク要因

フランス国内に潜むテロ計画者はもちろん大きなリスク要因です。しかしながら、今年の場合フランス国内の問題に起因するリスク要因も考慮しておく必要があると言えるでしょう。

6月27日パリ北西部ナンテールで警察による車両停止命令に従わなかった17歳の少年が警官による銃撃を受け死亡したことを発端にナンテールやパリはもちろんのこと国内各地で大きな波紋を呼んでいます。警察による過剰な暴力があったのではないか、として一般市民も抗議活動を活発化させており、一部地域では夜間外出禁止令も発令されています。マクロン大統領は治安要員を増員して対抗する方針を表明済みであり、現在フランス国内での暴動・衝突リスクは高まっていると言えます。

日本人を含む外国人が無差別に襲撃されるという事態は想定されないものの、群衆や治安当局が集まっている場所への接近は極めてリスクが高い状態と言えます。革命記念日の休日は多くの人がデモや抗議活動に参加しやすいタイミングであり、本件も踏まえれば今年は特に革命記念日にも群衆周辺での混乱に不用意に巻き込まれないようアドバイスします。

nanterre-riot
パリからもほど近いナンテールで警察への抗議の一環として放火された車両(フィガロのウェブサイトよりキャプチャ)

 

フランス国内では、元来生活費高騰への抗議を行うイエローベスト運動(gilets jaunes)も活発に行われてきた経緯があります。現地からの情報からも生活が苦しい国民は増えているとの情報が入ってきている他、現在の物価水準はイエローベスト運動が抗議活動を開始した2018年11月頃から上昇していることも事実です。物価上昇の一因と言われているロシアとウクライナの軍事衝突は依然として解決の見通しは立っておらず、物価高は当面の間継続するものとみられています。

こうした国内問題から、普段デモに参加しない方々も生活苦を訴えるという趣旨に賛同して各種抗議集会等に参加する地合いと言え大規模な群衆集結地点には近づかないといった自衛策が重要です。

 

過去のテロ発生状況や、大規模なデモが発生しそうな場所としては以下のような場所が考えられます。7月14日の革命記念日前後は普段の行動範囲を改めて見直し、以下の場所への接近を極力避けるような行動がおススメです。なお、もし具体的な脅威情報などがあれば随時更新します。

【フランス関連施設】
アリアンス・フランセーズ、アンスティチュ・フランセ、フランス人学校、

【欧米人・外国人が多数集まる場所】
ショッピングセンター、フランス料理等外国人が集まるレストラン、鉄道・バスターミナル、空港、ホテルのロビー・エントランス、劇場・映画館、繁華街、スポーツ・コンサート会場

【宗教施設】
教会、モスク、シナゴーグ、宗教学校

【象徴的建物】
首都等大都市の歴史的建造物、タワー、国会議事堂、裁判所、政府機関

【デモ・集会・群衆】
サッカーW杯パブリックビューイング会場、大規模抗議デモ、抗議集会、群衆、祝賀パレード、花火会場

 

日本政府外務省もおそらく類似の注意喚起を発表すると思いますので、そちらの最新情報が公開されましたらこの記事も更新します。

この項終わり