リスクを未然に回避するためにリスクカレンダーを活用する

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テロや暴動は一定程度予測できる

2023年もいよいよ1か月をきりました。コロナウイルスが感染症法上の5類感染症に分類変更され、今年は多くの企業・団体・学校等で海外事業の再開、再構築が行われた年でした。皆さんもご記憶されている通り新型ウイルスへの対処の基本もまずは情報収集でした。どのような性質があり、どんな人がハイリスクなのか?これを早期に確認し、100%の防御は難しくともウイルスに一定程度効果のあるワクチンや感染予防策が講じられたことで、何千万人、何億人という死者が出る事態は避けられたように思います。

 

海外における安全対策の第一歩も事前の情報収集です。どんな背景で、いつぐらいに事件が発生しやすいのかを把握することができれば一定程度リスクを事前に回避することが可能ですよね。実は日本人も海外でテロや襲撃の被害に遭ってしまった事例は存在しますが、日本人だけを標的として狙い撃ちされた事例はありません(一般犯罪の延長や個人的怨恨による殺人事件等は別の話です)。

皆さん自身が直接攻撃を受けるような身に覚えがない場合、被害が発生するとすれば誰か別の人や場所を狙ったテロや襲撃による巻き添え被害となります。そのため、海外でテロや襲撃による被害を避けるためには皆さんご自身というよりも、攻撃が発生しやすい時間帯に、攻撃が発生しやすい場所にいないこと。巻き添え被害を避けることが大切になってきます。そして、巻き添えに遭わないためには以下の三つの「カン」が大切です。

 

 

1)空間:テロが起こりそうな空間に近づかない

2)時間:テロが起こりそうな時間を避ける

3)観察力:テロの予兆がないか観察する

 

空「カン」、時「カン」、そして「カン」察力。上記三つを意識すれば、意識しない場合に比して被害を受ける確率を格段に下げることができます。

特に重要なのは1)空間、と2)時間、です。こちらのコラムで詳述していますが、テロや襲撃の実行犯/実行グループもやみくもに事件を起こしているわけではありません。そのため、特に大規模なテロや襲撃は、事前に狙われそうな場所、狙われそうな時期・時間を多少なりとも予測することが可能なのです。

 

もちろん、我々のような安全対策コンサルタントと呼ばれる人間も、未来が見える予言者ではありません。このため、正確にいつ・どこで、どのような事件が発生するか読み切れるわけではないのですが、世界情勢やあちこちの過激派武装勢力のこれまでの実績、声明文、各地でのイベント、政治情勢などを把握している人間にご相談いただければ、テロや襲撃、暴動などが発生する可能性をいくつかのシナリオを基に想定することが可能なのです。

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渡航先のイベントを把握できれば安全対策は一歩前進

では、いつも専門のコンサルタントに1)空間や2)時間の情報を確認しなければならないか、というとそうでもないのです。実際に海外に渡航される皆さん自身でも準備できる出発前の安全対策があります。

 

なぜなら、2)時間の情報については日本にいてもあらかた調べることができるからです。

 

渡航先滞在中に現地の大型連休、祝祭日等がないか?

渡航先滞在中に現地で政治イベント(選挙、首相等の就任式など)がないか?

渡航先滞在中に世界的な宗教行事がないか?

 

少なくとも、出発前にこの三つは調べた上で、海外への出張計画、旅行計画を立てていただくことをお勧めします。こうした情報は安全対策の観点だけでなく、皆さんの旅程をスムーズに進めるためにも必要な情報だと思います。(日本でいえば、お正月に海外の方が出張されても業務上ご案内できるところがほとんどないので、「スケジュールを再検討しましょう」という提案をされるはずですよね)  

選挙については日本国内でほとんどトラブルが起こりませんし、まして暴力行為や大規模な暴動に結び付くことがまずありませんので、意外と盲点になっているかもしれません。 民主主義の総本山ともいえるアメリカで、2020年大統領選挙後結果に納得できないグループが一部暴力行為を伴う形で抗議活動を継続したことは選挙をリスクイベント認識いただくにはちょうど良いかもしれません。2021年1月6日にアメリカの連邦議会議事堂に大勢が乱入し、大混乱になったことも記憶に新しいのではないでしょうか? アメリカはもちろん開発途上国と表現される国ではより混乱が大きくなることがあります。日本語メディアではあまり報じられることがないので、皆さんがその手のニュースを目にしてこなかったかもしれませんが、選挙に関連して死者が出るケースは少なくありません。

2024年の選挙予定で言えば、バングラデシュ、台湾、インドネシア、インド、メキシコ、南アフリカそしてアメリカの大統領選挙あたりの選挙はなんらかの暴力行為が発生しうるリスクイベントと言えるでしょう。こうした国に駐在員を派遣されている方、現地出張や留学を検討されている方は、選挙日程及びその関連情報には早い時期から気を配っておくことをおススメします。

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民主主義大国アメリカで暴徒が議会に突入した映像は記憶に新しい(CNNのウェブサイトよりキャプチャ)

 

企業の皆さんの場合、通常の海外出張申請/承認手続きは費用とルート、そして業務の目的が問題なければ承認されているのではないでしょうか?しかしながら、何らかのイベントがあるなら、そのリスクに応じた心構え、安全対策ができますよね。出発前の時点で渡航先のイベント等が把握し、承認プロセスに組み込むだけでも、企業・団体としての安全対策は一歩前進です!

 

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『リスクカレンダー』という考え方

ただ、何度も特定の国に出張を繰り返される方や、世界各地を飛び回るビジネスパーソンの皆様は都度出張先のあれこれを調べるのは面倒になってくるかもしれません。インターネットで検索すればある程度の情報は揃うとは言え、調べる頻度が多くなれば、だんだんと嫌気がさしてくるというもの。

 

そういう場合に活用いただきたいのが『リスクカレンダー』です。あらかじめ、世界各地の宗教上のイベントや主要国の政治イベント、伝統行事などを整理し、一覧表にまとめておくと大変便利です。そして出張前、ご旅行前に、こちらのカレンダーをちらっと眺めていただき、ご滞在期間中に大きなイベント等がないかを確認するだけでOK。もし、なにかイベント等があるようであれば、そのイベントが滞在先でどんな影響があるのかを調べればよいのです。  

 

例えば、実際に出張に行く方であれば、ご自身の出張時期に現地でどのようなイベントがあるのか、皆さん自身が現地でトラブルに巻き込まれやすい要素は存在していないだろうか、ということをリスクカレンダーを参照することでスピーディーに調査して頂くことが可能になります。実際に出張に行く方だけでなく、出張計画を承認する側の管理職の皆さんもリスクカレンダーの活用方法があります。それは予算・出張期間や出張目的に加えて、出張している時期が現地のなんらかのイベントに重なっていないか確認し、もしリスクが高いようであれば少し出張時期をずらせないか検討依頼を出すことが可能になりますね。

 

  このリスクカレンダー、一定の基礎知識と作成技術があれば各宗教のイベントや祝日や各国の伝統行事等を調べるのはそれほど大変ではありません。ただし、多忙なビジネスパーソンのみなさんがそうした基礎知識や作成技術を身に着けるのはなかなか時間が足りないと思います。このため、皆様の安全確保に役立てばと考え当サイトでは毎年12月頃に翌年分のリスクカレンダーを無料公開しております。(前年12月の時点では日程が未定のものも多いため、随時アップデートしています)2024年分の最新版はこちらのリンクからご確認ください。

    2024年版リスクカレンダー(無料ダウンロード可)

もし、皆さんの企業・団体で特定の国に対するより詳細なリスクカレンダーが欲しい、という場合には当方お問合せ窓口からコンサルティングのご相談をお願いします。オンラインないし対面で、皆様の海外展開状況を把握し、適切なカスタマイズをさせていただきます。

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