人事異動の季節ですが・・・
10月も早くも10日が経過しました。日本拠点の企業では4月と並び10月に人事異動が多いのではないでしょうか?日経新聞の人事欄も9月下旬から10月1日まで大勢の異動情報が掲載されていました。
この時期、安全管理を担当する責任者、実務担当者の異動も多いのではないでしょうか?こうした異動があった際に、絶対に忘れてはいけないのは安全管理上必要な緊急連絡網への異動情報の反映です。
海外に展開されているか否かに関わらず、一定以上の規模の企業・団体であれば緊急連絡網を用意されていると思います。誰もが使ったことのある次の図のようなものですね。
事業活動上のトラブルがあった場合はもちろんのこと、特に地震をはじめとする天災が多い日本では、事業継続計画のために連絡網は必須でしょう。海外に展開されている企業・団体であれば日本国内の本社と海外拠点の関係者を含む連絡網を作成されていると思います。
ただ、この季節によく発生する事態は緊急連絡網の更新漏れ。人事異動や電話番号の変更があったにも関わらず、緊急連絡網を更新し忘れるというケースはありませんか?今回は注意喚起もかねて緊急連絡網の更新の重要性を改めてお伝えします。
更新されない連絡網には何の価値もない
人事異動や組織改変に伴い、緊急事態の対応責任者、担当者が変わるということはよくある話でしょう。こうした変化は組織全体の人材マネジメントの観点から見れば動かさないほうが無理があります。ただし、変化があったのであれば必ず緊急連絡網も更新するようにしましょう。更新されない連絡網には何の価値もありません。むしろ、本当に連絡すべき相手がわからない、という点で百害あって一利なしです。
人事異動があっても、役割分担や担当顧客分けは日常的な事業、業務に関わる分数日のうちに明確な共通認識が出来上がります。また多少の微調整を経て、せいぜい一週間で明文化もされるのではないでしょうか?しかしながら、緊急連絡網は毎日見るものではありません。こうしたものはついつい更新を忘れがち。結果的に、万が一の事態が発生し、連絡網を使う時になって初めて
「この連絡網は情報が古くて使い物にならん!」
という事態に気づくことも。たとえ緊急連絡網を用意していたとしても、更新していなければ過去の努力・時間はすべて無意味になります。
過去我々がご相談に乗った団体で伺った話です。
「海外でトラブルがあり、深夜に対応しなければいけなくなった。
管理職になりたての自分が最初に緊急連絡を受けて上層部に連絡しようとした。
海外緊急事態対応マニュアルに添付の連絡網を見たら、既に退職された大先輩の名前が。
ほとんどの緊急対応をその大先輩がやることになっていたが、
現時点で誰が担当なのかわからず、結果的に自分が夜中自分一人で対応せざるを得なかった。
結果的に夜のうちにトラブルは解消し、翌日上司に報告したが、『お疲れさん』で終わってしまった。
マニュアルの更新、連絡網の更新をしなければいけないと痛感したが、まだ手が回っていない」
ドキッとされた方はおられませんか?
緊急連絡網の更新を怠ると、ほとんどのケースで対応が後手に回ります。
上記の例のように、運よく連絡を受けた方が解決できればよいのですが、万が一大規模なテロで関係者が死傷していたらどうなるでしょうか?本来対応すべき危機管理部門や人事部門、経営層に翌朝まで情報が入らないというケースも起こりえますね。
確かに更新は面倒な作業ではありますが、連絡網の更新は絶対に止めてはいけません。特に人事異動が多いタイミングは最新版になっているか確認することを強くおススメします。
メモしておくとよい連絡先
緊急連絡網と同時にアップデートをおススメするのは海外で活躍される方が手元に持っておくべき緊急連絡先一覧表。海外では日本と比較して停電の頻度が高く、携帯電話の充電が切れる可能性もあります。また、テロや襲撃で命からがら逃げる場合、各種連絡先がデータ保存されている携帯を持ち出せないことも考えられます。こうしたケースに備えて、名刺入れや財布、もしくはIDカードホルダー等、常に身に着けているものに紙の緊急連絡先一覧を忍ばせておくことをおススメしています。
過去の記事でも緊急連絡先一覧の作成を推奨していますが、改めてどのような連絡先を紙で保有しておくべきか整理してみましょう。ぜひご参考になさってください。また、こうした情報を一枚にまとめられるフォーマットも一例として公開しますので、遠慮なくご活用ください。
共通してメモしておくとよい連絡先
・現地日本大使館もしくは総領事館
・滞在先のホテル(自宅)
・現地警察の電話(日本での110)
・現地救急車の電話(日本での119)
・日本国内の家族連絡先
・クレジットカード会社
・海外旅行保険会社
・(パスポート番号と発行年月日)
必要に応じて記載しておくとよい連絡先
・現地での事業パートナー関係者
・留学先の学校関係者
・日本国内の所属先緊急時連絡先(海外安全部門や総務部・人事部など)
・日本国内の所属部署連絡先(上司や同僚の直通電話番号など)
・担当旅行会社
・留学斡旋会社
・利用する航空会社
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