海外での安全管理に最も重要な道具とは・・・

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地震の時は飲食物備蓄は必須、では海外の安全管理では?

 

日本にお住まいの皆さんの場合、

「いつ何時、大きな地震に見舞われてもおかしくない」

と日ごろから防災対策を講じられているのではないでしょうか?

 

政府機関や地方自治体、最近では民間企業も地震や津波が発生した際に組織としてどのように従業員を守るか、また地域の人を守るか、考えるようになりました。併せて電気やガス、水道等いわゆるライフラインが止まった際でも3日間は自宅で暮らせるよう、政府のHPやテレビ、新聞折り込みなどでも周知されています。

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内閣府HPの記載抜粋

 

万が一の事態に見舞われても大丈夫なように、地震の被害を受ける地域にお住いのみなさんが備えることが重要である、ということがよくわかりますね。実際にこうしたお知らせに基づいて、飲料水や食料品等を備蓄されている方も多いのではないでしょうか?

 

日本では自然災害の被災者になる可能性が一定以上あるからこそ、飲料水や食料品を備蓄しておこう、というインセンティブが働きますね。最近問題になった新型コロナウイルス感染症対策のマスクや消毒薬買い占めもある意味では備蓄の意識があったからこそ発生した問題と言えそうです。

 

その一方で、日本国内でテロや襲撃等に巻き込まれる可能性はほとんどない(少なくともここ10年以上組織的かつ大規模なテロ事案は発生していません)ため、テロや襲撃等に巻き込まれた際の備えをイメージしてください、と言われると戸惑われるかもしれません。

 

それでも、あえて質問させていただきます。

 

「海外に渡航される際、安全管理のために備えておくべき最も重要な道具はなんでしょうか?」

 

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通信手段は確実に手元に

海外に渡航される皆さんの場合は、日本と違いテロや襲撃等に遭遇する可能性は否定できません。銃が広く社会に浸透しているアメリカでは銃撃事件は頻繁に発生していますし、インドネシアやスリランカといった一般の観光客の方がいらっしゃるような国でもホテルや教会、警察署といった施設付近、一般の方も通行する道路の上で爆発が発生しています。標的となった施設に立ち寄ることがなくても、旅行中や駐在先の日常生活で道路を通行している時に巻き込まれる、という事態は十分に想定されます。

 

イギリスのシンクタンクが毎年発表しているGlobal Terrorism Indexの統計では、この3年間テロによる死者が発生した国の数の推移は以下の通りです。2016年に過去最多を記録し、2018年は過去二番目に多い71ヶ国でテロによる死者が発生していました。

 

2016年 79ヶ国(過去最多)

2017年 67ヶ国

2018年 71ヶ国

(参考値 2004年 39ヶ国)

 

より多くの国でテロによる死者が発生しているということは、今までテロとは無縁だった国でもテロによる死者が発生するようになった、ということを示唆しています。皆さんもこれまでテロや襲撃等巻き込まれたことがないからといって、今後も大丈夫、という保証があるわけではない点、ご理解いただけるのではないでしょうか?

 

では、テロや襲撃等不測の事態に巻き込まれた際、何がないと困るでしょうか?どうしてもこれだけは確保したいというものが一つあるのです。それでは答えの発表です。

 

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そう、当サイトとして海外での安全管理に必要不可欠と考えるのは「携帯電話」です。

 

海外において、テロや襲撃等に遭うとすれば、自宅ではなく、公共の施設や道路上のはずです。そこで必要なのは飲料水や食料品ではなく、まず第一に友人や同僚、もしくは日本の家族、場合によっては現地大使館等に速やかに連絡を取ること。そのためには携帯電話が不可欠な道具ということになります。

 

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組織で活動するなら「連絡網」を

「今時、携帯電話なんか誰でも持っているだろ!」

 

はい、おっしゃる通りです。他方で、普段生活している日本ならともかく、海外でスムーズに、必要な方に助けを求められますか?必要な連絡先として、企業であれば本社の担当者や現地拠点の担当者の連絡先は手元に用意して置く必要があります。旅行者の方であればツアーガイドの方や宿泊先のホテル等の連絡先を手元に用意しておくとよいでしょう。加えて、現地で邦人保護を担当している日本政府機関、すなわち大使館もしくは領事館の窓口番号もメモしておくことを強くおススメします。

 

海外で企業やNGO等組織で活動される方の場合は、連絡先を全員が控えておくことはもちろん、日本の本社/本部と海外の拠点、そして現地入りしている関係者の「連絡網」を作成しておきましょう。

万が一の際、日本からでも、海外の拠点からでも、もしくは関係者からでも安否確認や被害状況等、連絡がスムーズに進められます。今時メールグループやLINEのグループでコミュニケーションしているよ、という方もおられますが、リアルタイムでの会話ほど手早く情報を伝達できる手段はありません。

ひと昔前に逆行するようですが、持ち歩ける紙の「連絡網」の作成をご検討ください。

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なお、途上国ではさまざまな理由で携帯電話による通信が途絶えることがあります。

日本では想像できないと思いますが、

 

・政府の命令で携帯電話会社が特定地域の携帯電波を遮断した

・携帯電話会社施設で停電等が発生し、通信できない

・通信が集中し、携帯電話会社の通信キャパシティを超え、つながらない

 

といった事態が起こることもありえます。このため、複数の通信手段を確保しておくことがおススメです。

 

例えば

 

・複数の携帯電話会社のSIMカードを持っておく

・携帯電話に加えてポケットwifiを携帯する(スマホをwifi経由で使用する)

・衛星携帯電話を使用する

・無線機を活用する(ただし現地電波法、通信法に注意!)

 

といった複数の通信手段を状況に応じて備えておくこともあります。ただし、特に衛星携帯電話と無線機に関しては、各国の法律で使用が規制されていることもあるため、購入する前に必ず現地法規をご確認の上、使用を開始してください。

 

 

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