ケニア治安最新情報(2024年9月)/海外安全.jp


0.ケニアにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在ケニア日本国大使館  :+254-(0)20-2898000

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察/救急/消防    :999 もしくは112

◎警察(ナイロビ)  :020-2724154

◎警察(モンバサ)  :041-2222121

◎警察(キスム郡)  :057-2023777

◎消防(有料民間会社):020-7120957、020-7120274

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

ケニアに対しては、各国政府ともリスクの判断が類似しています。東部ソマリア国境や北部のエチオピア、南スーダン国境に対しては全政府が立ち入りをできる限り控えるよう呼び掛けています。
それ以外の地域でもテロや凶悪な犯罪への警戒を呼び掛ける文章が並んでいます。特にナイロビやモンバサ等、観光目的地となる都市部で、他の地域よりも強い注意喚起がなされている地域があります。国によって、リスクレベルの強弱範囲が異なりますので各国の注意喚起を十分に確認することをおススメします。

イギリス政府のトラベルアドバイスによれば、サファリツアーが行われる地域には強い注意喚起が出ていません。これは日本政府外務省の評価も同じです。

【海外安全.jpのコメント】

各国政府とも、ケニアではまず第一にテロ、第二に凶悪犯罪(殺人、銃器を用いた強盗、誘拐等)への強い注意喚起があります。テロについては隣国ソマリアや北部各国との国境付近に拠点を有する過激派が存在しており、この付近への立ち寄りを避けるよう強く注意喚起がなされています。

ナイロビやモンバサ島外国人観光客が多い都市部では、地域によって銃器を用いた凶悪犯罪が多く発生しています。金品目的であることが多く、各国政府とも特に強盗への注意を怠らないよう呼び掛けており、被害を拡大しないためにも強盗には抵抗しないよう記載されています。また、日本政府外務省はケニア国内で昼夜を問わず徒歩での外出は控え、常に車両で移動するよう注意喚起しています。

その他野生動物を観察するサファリツアーなどが多く行われる地域は各国ともケニア国内としては最も低いレベルが設定されていることがほとんどです。ただし、こういった地域でもテロや強盗等への警戒が不要なわけではありません。現地のニュースに気を配り、貴重品(スマートフォン、タブレット等含む)の管理には十分気を付けるようおススメします。

2.日本政府の危険情報

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「レベル4:退避してください。渡航は止めてください。」が設定されている地域

ソマリアとの国境地帯

北東地域ダダーブ難民キャンプ周辺地域

北東地域ガリッサ郡ガリッサ

「レベル3:渡航は止めてください」が設定されている地域

リフトバレー地域トゥルカナ郡の南スーダン、ウガンダとの国境地帯及び南部一帯

マルサビット郡、モヤレ準郡の北側エチオピアとの国境地帯

ウェスト・ポコット郡、バリンゴ郡北部一帯、北東地域マンデラ郡、ワジル郡、ガリッサ郡の一部及び沿岸地域ラム郡の一部

「レベル2:不要不急の渡航を止めてください」が設定されている地域

ナイロビ郡の一部(ナイロビ東部イスリー地区周辺地域、キベラ、マザレ、カワンガレ等スラム街周辺地域)

リフトバレー地域トゥルカナ郡の一部

東部地域マルサビット郡(エチオピア国境付近を除く)、サンブル郡及びイシオロ郡、沿岸地域タナ・リバー郡

キリフィ郡沿岸部の北側一帯

「レベル1:十分注意してください」が設定されている地域

上記を除く全土

 

テロの危険性が特に高いソマリア国境、北部の国境地帯への警戒が強く記載されています。この地域への立ち入りは推奨されていません。

ナイロビやモンバサ等、観光地では都市部の一部にスラム化した場所が存在しており、特にそういった地域を中心に強盗等の犯罪が多発していることが明記されています。拳銃を用いた強盗やひったくりも発生しているため、昼夜を問わず徒歩での移動は避け、認可されたタクシー等できるだけ車両を利用すること、また夜間は警備会社のエスコートサービスを利用するなど、自らの安全確保に努めてください、との注意喚起があります。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー


ケニアとソマリアの国境地域

リフトバレー州トゥルカナ郡

に対して「渡航を中止してください: Do not travel」が設定されています。

ナイロビ近郊イスリー地域、キベラ地域

リフトバレー州ライキピア地域の一部

に対して「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」が設定されています。

上記を除く全土

に対しては「十分警戒してください:Exercise increased caution」が設定されています。

 

ソマリア国境地域及び南スーダンに隣接する地域はテロの危険性があるため、「渡航を中止してください: Do not travel」が設定されています。ナイロビ近郊の一部地域とライキピア地域の一部には凶悪犯罪の危険性があるため「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」が設定されています。

上記を除く首都ナイロビを含む国土の主要部分に対しても犯罪やテロの可能性を排除できないため「十分警戒してください:Exercise increased caution」が設定されています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

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ソマリア国境から60キロの地域、ガリッサ郡、ラム郡(ラム島、マンダ島を除く)、タナリバー郡北部、マンデラ郡の一部、アティ川とタナ川に挟まれた沿岸部に「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」が設定されています。

これ以外の地域は「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」が設定されています。

 

テロや凶悪犯罪への注意喚起が強いトーンで記載されていますが、アバーデア国立公園、アンボセリ国立公園、マサイマラ国立公園等は「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」であることが明記されています。

凶悪犯罪のターゲットは主として現地の人間であるものの、過去にイギリス人も強盗の被害に複数遭っており中には犯人に抵抗するなどして命を落とした人もいる旨記載があります。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付でケニアの首都周辺を中心に「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」までリスクレベルが引き下げられました。首都ナイロビは新型コロナウイルス感染症拡大前よりも低いレベルとなっています。
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オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

ケニアではソマリア国境地域とマンデラ地区・ガリッサ地区に最も警戒レベルの高い「渡航を取りやめてください:Do not travel」が設定されています。この地域では武装勢力による襲撃、誘拐等のリスクが高いと評価されています。

次に警戒レベルの高い「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」が北部南スーダン及びエチオピアとの国境地帯、タナリバー郡の沿岸部、キリフィ郡の沿岸部およびラム郡に設定されています。

それ以外の全土にも5段階中3番目となる「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」が設定されています。

 

いずれの地域でも現地の最新情報に注意し、常に自分の周囲に不審な動きがないか、安全第一で行動するようアドバイスされています。

6.最近の治安ニュース

ケニア財政法をめぐる死者を伴う混乱(2024年7月)

ケニア国内各地 財政法案への抗議デモ活発化(2024年6月)

ケニア南東部モンバサでの日本人監禁・強盗事案(2024年6月15日)

ケニア野党抗議デモに伴う死者の発生(2023年7月12日)

ケニア政治的デモに伴う死者の発生(2023年7月7日)

ケニア北東部武装勢力による警官襲撃事案(2023年6月2日)

ケニア南東部建設現場への襲撃事案(2022年3月11日)

ケニア首都国連スタッフの強盗殺人被害事案(2022年2月18日)

ケニアでの誘拐事件被害者の解放(2021年5月)

2019年1月15日ケニアナイロビ中心部の高級ホテルを標的としたテロ攻撃が発生しました。事件直後に少なくとも15名の死亡が確認されています。事件直後にソマリアを拠点とする過激派武装勢力アルシャバーブが犯行声明を発表しました。

なお、事件翌日早朝にも付近を捜索していた治安当局と過激派と思われる一味の間で銃撃戦が行われたとのこと。

 

〇2018年10月テロ組織「アルシャバーブ」によるビル爆破計画がある旨報じられましたが現地治安当局はこの情報を「フェイク」として否定しました。なお、在ケニア日本大使館はこれらの計画があった情報を踏まえ、現地日本人に注意喚起を発表しており、現在もその注意を維持しています。

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