デジタル行政の遅れ
日本経済新聞は2020年10月8日付で『デジタル行政・怠慢の20年』という連載で『もたれ合うベンダー・⾃治体 デジタル化へ旧弊破れるか』という記事を掲載しました。本年2月頃から大きく社会を揺るがしている新型コロナウイルス感染症の影響で、明らかになった事実の一つは日本の行政におけるデジタル化が極めて遅れているという事実です。
全国の自治体から集まる感染者情報のとりまとめ不具合
全国民への「特別定額給付金」の支給遅れ
公立の小中学校でのオンライン授業対応に関する混乱
などなど、デジタル化の遅れが直接的・間接的に明確になっています。具体的に、第一の事例を解説した記事の一部を抜粋します。
厚⽣労働省が5⽉末に導⼊した感染者把握システム「HER-SYS(ハーシス)」。患者情報をオンラインで迅速に集計。都道府県や国の情報共有を効率化し、迅速な政策判断につなげるとのふれこみだった。
ところが⼤阪府では独⾃システムとの⼆重利⽤が続く。ハーシスはクラスター(感染者団)特定に必要な濃厚接触者の⾏動履歴を詳細に⼊⼒できず、「国のシステムに統⼀しても現場が混乱する」(⼤阪府の担当者)。データ漏洩を警戒した結果、アクセス権限も厳く、保健所設置市と情報共有しにくい。
紙による連絡も解消できていない。医療現場から保健所への連絡は今もファクスが主流。病院が患者情報を電⼦カルテに記録しても保健所への伝達⼿段が統⼀されていない。これでは保健所の負担は減らない。
尾崎自身は人間の医療現場を直接存じ上げませんが、各種報道や、医者である友人から話を聞くにおそらくはこの通りなのでしょう。実際に日本政府としてもデジタル化の遅れを痛感した模様であり、内閣府は7月17日付で「デジタルニューディール」を含む『経済財政運営と改革の基本方針2020』を閣議決定しています。河野行政改革大臣による「脱ハンコ」指令などもこの流れの一部と言えるかもしれませんね。
さて、これだけであれば、日本のデジタル化が遅れていますね、頑張りましょうね、で終わってしまうのですが、この記事にはもっと恐ろしいことが書かれていました。
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