有事の際は日常のルールを捨てる!

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正常性バイアスという罠

正常性バイアス、という言葉をご存じでしょうか?

災害やテロといった非日常的な事態に遭遇した際、

 

「自分は大丈夫だ」

「まだ大丈夫だ」

「この場所なら大丈夫だ」

 

と事態を楽観的に捉えてしまう心理学的な現象を指します。

人類史上最も規模の大きなテロと言っても過言ではない、あの「アメリカ同時多発テロ(2001年9月11日)」の際、まさにビルの中にいた人々ですら逃げようとしなかった人がいたことがわかっています。また最終的にビル崩落前に避難した方でも

 

 「さっきまで読んでいた本を持っていこう」

 

とまるでランチを外食しに行くような思考回路だったこともインタビューで分かっています。

アメリカ同時多発テロで生き残った方に多数インタビューするなどしてまとめられた「生き残る判断 生き残れない行動」(「The Unthinkable」)

 

また、代表の尾崎が実体験として教えてくれた話も大変興味深いものがありました。尾崎は1995年阪神・淡路大震災発生時、震度7の地域に住んでいたとのこと。朝5時46分に人生で初めて「死ぬかもしれん」と感じるほどの揺れだったそうです。しかしながら家具が倒れ、割れた食器や装飾品が散乱する中で朝7時半ごろ「今日は学校休まないとダメなんだろうか」という日常の思考回路だったと話してくれました。

 

そう、人間の思考回路のクセとして、異常事態に巻き込まれている本人は思いのほか危機を感じないようにできているのです。どんなに非常事態に見舞われたとしても、人間は本能的に日常生活の延長線上だと捉えがちなのです。

 

こうした思考回路のクセを知ると冒頭尾崎の発言の意味が分かってきます。どんなに大規模なデモで市内が混乱していようと、また「すわ戦争か」という事態があっても、第三者として見ているほど危険度を正しく認識することは難しいということになります。

 

【次ページでは・・・危険を認識したらどうすべきか?】