イラク治安最新情報(2024年8月)/海外安全.jp


0.イラクにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在イラク日本国大使館  :870-772-582-564(衛星電話)

◎在エルビル領事事務所  :+964-(0)66-210-5555

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察  :104

◎救急  :122

◎火災  :115

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

イラクに対しては4か国とも政府極めて厳しいリスク評価を行っています。イギリス、アメリカおよびオーストラリア政府は全土が渡航中止勧告がなされています。日本政府のみ地域によってレベルを分けていますが、一般の方には渡航をおススメしていない状況です。
また、2024年4月以降イランとイスラエルの軍事衝突の余波がイラン上空の航空機運航にも影響を及ぼしかねない情勢である点にも注意が必要とされています。

【海外安全.jpのコメント】

2020年1月3日、イラクに滞在していたイラン軍幹部をアメリカ軍がドローンを用いて殺害し、イランとアメリカの間の緊張が急激に高まりました。1月8日にはイランがイラク国内の米軍拠点に対しミサイル攻撃を実行しました。2022年1月にはイランとのつながりが指摘されるグループによる米軍基地や空港等への本件への報復攻撃も発生しています。

また、2023年後半からはイスラエルとパレスチナ武装勢力の衝突に端を発し、地域情勢全体の不安定さが一層高まっています。イラク領内でも軍事攻撃が行われるなど不安定な情勢が続いており、日本政府外務省を含め各国が更に注意喚起を高めている点にご注意下さい。イラクに渡航される場合には同国内の治安・政情はもちろんのことイランやイスラエルを含む周辺国の動向も含め情報収集を行い、イラン国内にとどまらざるを得ない場合も想定した準備をされることを推奨します。

現時点でイラン、イラクを含む地域情勢の先行きを見通すことは極めて困難です。テロや一般犯罪と違い、武力紛争になると個人レベル、企業・団体レベルで現地関係者を守る方法を講じることは極めて困難です。よほどの理由がない限りにおいて、一般の方のイラク滞在はおススメできません。

2.日本政府の危険情報

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「レベル4:退避してください」が設定されている地域

首都バグダッドを含むレベル3、レベル2設定地域以外。なお、以下の地域については、真にやむを得ない業務上の必要性があり、所属企業や団体等を通じて組織としての必要かつ十分な安全対策が講じられる場合のみ例外的に立ち入りも可とする表現になっています。

エルビル県エルビル市とドホーク県ドホーク市間を移動する場合に通過するニナワ県のカラク、バーダラシュ、ルビア及びバーダラを経由する幹線道路及びこれ以北のニナワ平原を通過する幹線道路。バグダッド国際空港からバグダッド市内インターナショナルゾーンへの空港道路(ルート・アイリッシュ)及びインターナショナルゾーン内部

「レベル3:渡航は止めてください」が設定されている地域

エルビル県(エルビル市並びにニナワ県,キルクーク県及びサラーハッディーン県との県境を除く)

スレイマーニーヤ県及びドホーク県のうちトルコ、イラン又はシリアとの国境付近

中南部・南部7県(カルバラー県、ナジャフ県、ディワーニーヤ県、バスラ県、ムサンナー県、ズィーカール県及びミーサーン県)

バグダッド国際空港敷地内(バグダッド国際空港敷地内のホテル及びイラク航空国際ビジネスセンターを含む)

「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」が設定されている地域

エルビル県エルビル市

スレイマーニーヤ県及びドホーク県のうちトルコ、イラン又はシリアとの国境付近並びにニナワ県、キルクーク県、サラーハッディーン県及びディヤーラ県との県境付近を除く地域

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

アメリカ大使館を標的としたとみられるロケット攻撃などが発生していることを踏まえ、全土に高いリスクレベルが設定されています。


全土

テロおよび武力紛争リスクの危険性が極めて高いため、全土に対し、「渡航を中止してください: Do not travel」が設定されています。また、本文中には現地での誘拐の危険性も説明されており、繰り返しイラクへの渡航を留まるよう呼びかけています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

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イラクは全土が最大の警戒を要する「渡航を取りやめてください:Do not travel」が設定されています。治安情勢が極めて危険であり、流動的であることから、渡航を取りやめるよう勧告されています。

なお、2024年1月イエメンを拠点とし、紅海周辺で商船等の襲撃、近隣国へのロケット砲発射等を続ける武装勢力フーシ派に対し、米英連合軍が空爆を行いました。事実上の軍事衝突が発生している状況とも解釈でき、情勢が急変する可能性も否定はできません。英国政府は1月12日付で中東一円18の国と地域のトラベルアドバイスを更新し、「状況によってトラベルアドバイスが急に変更される可能性がある」との記載を追加しています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大の影響もさることながら、治安情勢が極めて不安定であるとしてイラクに対しては継続して渡航しないよう呼びかけられています。

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オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

イラクは全土が最大の警戒を要する「渡航を取りやめてください:Do not travel」が設定されています。治安情勢が極めて危険であり、流動的であることから、渡航を取りやめるよう勧告されています。

6.最近の治安ニュース

イラク北部エルビルへのイランによる攻撃(2024年1月16日)

米英連合軍によるイエメン武装勢力空爆の影響(2024年1月12日)

イラク北部暴動に伴う外出禁止令(2023年9月1日)

イラク北部国際空港付近での爆発(2023年4月7日)

イラク首都政党支持者間の衝突(2022年8月29日)

イラク首都シーア派宗教指導者派による議会占拠(2022年7月)

イラク北部リゾート地への砲撃(2022年7月20日)

イラククルド人自治区でのドローンを用いた攻撃(2022年6月8日)

イラク北部エルビルへのロケット砲攻撃(2022年3月13日)

イラク首都空港へのロケット砲攻撃(2022年1月28日)

イラク首都首相官邸へのドローン攻撃(2021年11月7日)

イラク首都東部での市場爆発テロ(2021年7月19日)

イラク北部エルビル空港付近へのロケット砲着弾(2021年2月15日)

イラク首都中心部での自爆テロ(2021年1月21日)

イラク反政府デモ参加者の相次ぐ射殺(2020年11月6日)

イラク首都空港付近でのロケット砲による民間人死亡(2020年9月28日)

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