イスラエル・パレスチナ治安最新情報(2024年4月)/海外安全.jp


0.イスラエル・パレスチナにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在イスラエル日本国大使館   :+972-(0)3-695-7292

◎在ラマッラ出張駐在官事務所  :+972-(0)2-298-3370

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察  :100

◎救急  :101

◎消防  :102

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

2023年10月7日パレスチナの武装勢力ハマスを筆頭とする武装勢力がイスラエルに対し大規模な軍事作戦を実行したこと、その後イスラエルが反撃したことを踏まえ、イギリス、オーストラリア政府がいち早く現地の治安情勢を踏まえリスクレベルを引き上げています。10日付で日本政府もリスクレベルを引き上げました。日本政府は「出国を希望される方は、商用便の運航状況にご留意ください。」との記載も追加されている点が特徴的です。アメリカ政府は10月14日付でリスクレベルを引き上げています。
加えて日本政府外務省は一般犯罪の発生率も日本の5倍ほどであり、特にスリ・置き引き等の被害に遭う日本人が多いことが記載されています。テロや武力紛争のみならず、一般犯罪への注意が必要であると呼びかけられています。

【海外安全.jpのコメント】

イスラエル・パレスチナでは特にガザ地区周辺の武力衝突(イスラエルから見るとテロ行為)リスクが極めて高い状況です。歴史的経緯や、2023年10月以降の軍事衝突激化を踏まえ、現時点で一般の方にイスラエル、パレスチナへの渡航はおススメしません。ただし、真に必要な業務の為両国に渡航する場合には所属する組織等での安全対策を万全にした上で現地入りすることを推奨します。また、ヨルダン川西岸やその他イスラエルの大部分に安全に渡航していただくために、最低限日本政府外務省の危険情報を精読することをおススメします。

万が一イスラエル・パレスチナ域内で不測の事態に巻き込まれた場合でもすぐに大使館や駐在官事務所と連絡がつくよう、連絡先カードを作成することも強くおススメします。

なお、10月9日の時点でイスラエル全域に「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」を設定したオーストラリア政府は現時点でシリアとイスラエル国境及びレバノンとイスラエル国境付近に「渡航を取りやめてください:Do not travel」を設定していません。しかしながら、レバノンを拠点とする武装勢力がイスラエル領内に砲撃を行うなど緊張感がエスカレートする予兆もありますので、十分な注意が必要です。

2.日本政府の危険情報

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「レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)」が設定されている地域

・ガザ地区及び同地区との境界周辺

・レバノン国境地帯

「レベル3:渡航は止めてください」が設定されている地域

・パレスチナのヨルダン川西岸地区

「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」が設定されている地域

・イスラエル支配地域のうち上記を除く全域

 

2023年10月7日以降継続中のイスラエルとパレスチナ武装組織との軍事衝突に伴い、ガザ地区は退避勧告の対象となりました。またヨルダン川西岸地区はラマッラ、ジェリコ、ベツレヘム等都市部含めレベル1からレベル2に引き上げられており、同時にテルアビブやエルサレムを含むイスラエル支配地域も全域がレベル2に指定されました。

情勢は極めて流動的であり、安全確保に努めること、また「出国を希望される方は、商用便の運航状況にご留意ください。」との記載も追加されています。

その後、レバノンとの国境付近での武力衝突やエルサレムへの砲撃なども踏まえ、18日付でレバノン国境はレベル3からレベル4に、パレスチナのヨルダン川西岸地区はレベル2からレベル3に引き上げられています。

 

参考まで、2023年パレスチナ武装勢力によるイスラエルへの大規模攻撃前に設定されていたリスクマップも残しておきます。

また、イスラエル政府発表の統計によれば、犯罪発生率は日本の約5倍であることも記載されており、一般犯罪(スリ・置き引き等)への警戒が呼びかけられています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

2023年10月14日付でイスラエルとパレスチナ間の武力衝突のエスカレートを踏まえリスクレベルが引き上げられています。

テロ、武力紛争、市民騒擾のリスクが極めて高いためガザ地区には「渡航を中止してください: Do not travel」が設定されています。

上記を除くイスラエル支配地域及びヨルダン川西岸地区には「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」が設定されています。

2023年10月13日付で現地大使館員の家族や駐在が必須ではない大使館員の出国を認めている旨記載されています。アメリカ大使館があるエルサレムでもテロや暴力的な衝突が発生する危険性があり、巻き込まれた場合には死傷する恐れがあることが明記されています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

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ガザ地区及びその周辺に加え、北部ゴラン高原98号線以東、レバノンとの国境から4Km(メトゥラ以東は国境から500m)の領域、ヨルダン川西岸地区に対し、「渡航を推奨しません:Advise against all travel」が設定されています。いずれも武力紛争の危険性を重く見て警戒レベルが最も高く設定されています。

また2023年10月7日以降、イスラエルとパレスチナ間で大規模な軍事衝突が続いていることを踏まえ、上記以外の地域全域が「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」に設定されました。

なお、2024年1月イエメンを拠点とし、紅海周辺で商船等の襲撃、近隣国へのロケット砲発射等を続ける武装勢力フーシ派に対し、米英連合軍が空爆を行いました。事実上の軍事衝突が発生している状況とも解釈でき、情勢が急変する可能性も否定はできません。英国政府は1月12日付で中東一円18の国と地域のトラベルアドバイスを更新し、「状況によってトラベルアドバイスが急に変更される可能性がある」との記載を追加しています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付でイスラエルは国土の主要部分が「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」にリスクレベルが引き下げられました。
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オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

2023年10月7日から始まったイスラエルとパレスチナ間の軍事衝突激化に伴って順次イスラエル/パレスチナ地域全体でリスクレベルが次々と引き上げられています。

レバノンとの国境地域、ガザ地区、ヨルダン川西岸地区(東エルサレムを除く)に「渡航を取りやめてください:Do not travel」が設定されています。

ガザ地区を除くイスラエル領域すべては「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」に指定されており、新たにイスラエル/パレスチナへの立ち入りを控えるよう呼び掛けています。

 

過去、ゴラン高原は長年シリアとの国境紛争対象地となっており、直近大規模な武力紛争は発生していないものの、警戒が必要と記載されていました。

6.最近の治安ニュース

米英連合軍によるイエメン武装勢力空爆の影響(2024年1月12日)

イスラエル司法改革反対デモの再燃(2023年7月)

イスラエル軍によるヨルダン川西岸地区掃討作戦(2023年7月2日)

ガザ地区によるテロリスト掃討作戦(2023年5月9日)

エルサレムでの自動車暴走による刺傷事案(2023年4月24日)

テルアビブ市内での観光客死亡銃撃事案(2023年4月7日)

イスラエル都市部司法改革に関する群衆衝突(2023年3月27日)

テルアビブ市内交差点での銃撃事案(2023年3月9日)

エルサレム市内ユダヤ教施設での銃撃(2023年1月27日)

イスラエル宗教的聖地での銃乱射事案(2021年11月21日)

イスラエル軍によるパレスチナガザ地区空爆(2021年5月7日頃から)

 

2020年1月27日ISISの報道担当者がイスラエルへの攻撃を呼び掛ける声明を発表しました。

2020年1月3日にアメリカ軍はイラン軍幹部をイラク国内バグダッドでのドローン攻撃によって殺害しました。8日にはイラン軍がイラクにあるアメリカ軍拠点二か所に対し弾道ミサイルを撃ち込む報復攻撃を実施しました。中東を中心として情勢は不安定になっており、各国政府も自国民に対し、身の安全を守るため警戒を高めるよう呼びかけています。

 

2019年11月12日、イスラエル軍による空爆でパレスチナ側武装勢力の指導者が死亡しました。本事案を受け、ガザ地区からイスラエル側にロケット砲が多数発射される等、武力行使の度合いが活発化しています

2019年9月1日イスラエル北部レバノンとの国境付近でレバノン側、イスラエル側双方からの砲撃、銃撃を含む武力衝突が発生しました。この地域での大規模な武力衝突は2015年1月以来の出来事です。在レバノン日本国大使館からは周辺地域に当面の間近づかないよう注意喚起がなされました。

レバノン/イスラエル国境での武力衝突

2019年5月4日以降、パレスチナ側から600発以上のロケット砲が発射されており、それに報復する形でイスラエルが空爆を行っています。

パレスチナ・イスラエル間の武力応酬

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