フィリピン治安最新情報(2024年3月)/海外安全.jp


0.フィリピンにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在フィリピン日本国大使館 :+63‐(0)2-8551-5710、+63‐(0)2-8551-5786(邦人保護担当班直通)

◎在セブ日本国総領事館   :+63‐(0)32-231-7321

◎在ダバオ日本国総領事館  :+63‐(0)82-221-3200

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎非常時(警察/消防/救急) :911(国内共通)

◎救急(フィリピン赤十字)  :143(国内共通)

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

・新型コロナウイルス感染症の関連情報は頻繁に変化しますので最新情報をご自身で確認いただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

フィリピンについては、いずれの政府も概ね三段階のリスクレベルを設定しています。
ミンダナオ島西部が最も危険度が高く、できる限り立ち入らないよう呼び掛けています。ミンダナオ島東部は必要がなければ立ち入らないようアドバイスしており、マニラを含むそれ以外の地域は警戒を怠らないよう呼び掛けています。

ミンダナオ島ではテロや武装勢力とフィリピン軍の「戦闘」が散発的に発生していること、外国人を標的にした誘拐が発生しています。また、ミンダナオ島全域にフィリピン政府の戒厳令が発令されており、依然として警戒を下げられる状態ではない点各国政府ともに一致しています。

ミンダナオ島に比べればリスクレベルが低く見えますが、マニラを含むミンダナオ島以外の地域でも犯罪発生率は高く、拳銃を用いた犯罪も多いため十分な警戒が必要です。特に日本政府の危険情報には具体的なアドバイスが豊富に記載されています。

【海外安全.jpのコメント】

フィリピンには首都マニラやセブ島など日本人も多く訪れる地域が多くあります。ミンダナオ島のリスクが極めて高いことは各国政府とも共通認識となっており、いずれの政府もできる限り自国民に立ち入らないよう情報を発信しています。仕事上どうしてもミンダナオ島へ渡航しなければならない場合や現地情報を十分に把握できている方以外はミンダナオ島への渡航はおススメできません。

他方、マニラやセブ島等、ミンダナオ島以外の地域でもリスクが低いとは言えません。短期の滞在であっても、日本とは状況が違うのだ、といことを強く認識して旅行されることをおススメします。

なお、2022年にはセブ島周辺を中心にデング熱患者が例年よりも多く発生し死者も多数でました。デング熱は高熱はもとより、場合によって出血熱の症状を伴い命にも関わりかねない感染症です。蚊に刺されないような対策を講じてから渡航することをおススメします。

2.日本政府の危険情報

ミンダナオ地域の西側(周辺海域を含む)がレベル3:渡航はやめてください、

パラワン州南部およびミンダナオ地域の東側(ダバオ市、ジェネラル・サントス市、カガヤン・デ・オロ市とカミギン州、ディナガット州、シアルガオ島、ブトゥアン市、ハッサン市、ビジャヌエバ市、タゴロアン市、タグム市、サマル市、ディゴス市、マティ市)を除く)がレベル2:不要不急の渡航は止めてください、

上記地域以外全域がレベル1:十分注意してください、

に指定されています。

特にミンダナオ地域西側、レベル3の地域では武装勢力による身代金目的の外国人誘拐が爆弾テロ事件等への警戒から高いレベルでの警戒が必要である旨説明されています。加えて、既に治安当局によって鎮圧済みですが、2017年5月以降レベル3の地域内マラウィ市ではISと関連していると言われていたアブ・サヤフグループとフィリピン軍の「戦闘」が長期にわたり続いていました。武装勢力残党の捜索・掃討作戦は断続的に続けられていることもあり、日本政府はこの地域への渡航は止めるよう呼び掛けています。

日本人の方が多く訪れるマニラ首都圏やセブ島等は外務省の危険レベル1の地域となっています。ミンダナオ地域等に比較すればテロや襲撃、外国人誘拐のリスクが低いためレベルが異なりますが、レベル1の地域であっても、犯罪発生率は日本と比較して高いことが説明されています(例:殺人は日本の約10倍、強盗は日本の約9倍、強姦は日本の約7倍との記載あり)。

犯罪に巻き込まれないための注意点として以下のような項目が具体的に説明されています。

(1)なるべく目立たず、周囲の環境に溶け込む。

(2)習慣的な行動は避ける。

(3)個人情報の管理を徹底する。

(4)外出する場合には常に周囲の状況に気を配る。

(5)所持品から目を離さない。

(6)公共交通機関の利用はできる限り避ける。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

2022年4月18日以降、新型コロナウイルス感染症パンデミック拡大前のリスクレベルまで戻されています。

南西部スールー州および関連の群島

ミンダナオ島マラウィ市

にテロ、誘拐および民衆騒擾を理由として「渡航を中止してください: Do not travel」が設定されています。
特にスールー州周辺ではアメリカ人も誘拐された事例があるとされており、強く注意喚起がなされています。

マラウィ市以外のミンダナオ島

に犯罪、テロおよび民衆騒擾を理由として「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」が設定されています。
ミンダナオ島では2018年10月現在も島内全域に非常事態宣言が発令されていることが明記されています。

上記を除く地域

「十分警戒してください:Exercise increased caution」と設定されています。
上記エリアと比較すると、リスクが低いと判断されていると想像されますが、犯罪、テロ、市民騒擾には十分注意するよう呼びかけられています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

イギリス政府はフィリピンに対し、三段階のアラートを発しています。

ミンダナオ島西部:「渡航を推奨しません:Advise against all travel」

ミンダナオ島東部:「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」

それ以外の地域:「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」

ミンダナオ島西部及びスールー州周辺ではテロや武装勢力とフィリピン軍の衝突が散発していることが明記されており、周辺地域への立ち寄りは推奨されていません。また、ミンダナオ島には2018年12月まで戒厳令が発令されており、必要不可欠な渡航以外は避けるようアドバイスされています。

それ以外の地域でも犯罪やテロ、自然災害(台風・火山の噴火)等への警戒を怠らないようアドバイスがされています。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付で国土の主要部分が「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」にリスクレベルが引き下げられました。その後2022年6月7日付で新型コロナウイルス感染症関連の注意喚起が撤廃され、新型コロナウイルス感染症拡大前のリスクレベルまで戻されました。
ミンダナオ島西部やスールー州には引き続き「渡航を取りやめてください:Do not travel」が、ミンダナオ東部には「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」が適用されています。
現在は感染症の影響を考慮しない治安情勢に基づくリスクマップが表示されています。

philippines-aus-level

オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

フィリピンは三段階の評価が設定されています。

ミンダナオ島西部「渡航を取りやめてください:Do not travel」

ミンダナオ島東部「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」

それ以外の地域「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」

となっています。

特にミンダナオ島では犯罪の発生率が極めて高いこと、テロのリスクが高いこと、またフィリピン南部では誘拐のリスクも高いことから、危険度を高く設定している旨記載があります。

加えて、マニラを含む「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」の地域でもテロリスクが存在しており、常に周囲の警戒を怠らないようアドバイスされています。

6.最近の治安ニュース

フィリピン南部ミンダナオ島での待ち伏せ攻撃(2024年1月14日)

フィリピン南部マラウイ宗教集会での爆発(2023年12月3日)

フィリピンルソン島南部マヨン火山の噴火警戒(2023年6月)

フィリピン首都外国人への強盗致死事案(2023年2月19日)

フィリピンルソン島での副市長暗殺事案(2023年2月20日)

フィリピン首都外国人強盗致死事案(2023年2月19日)

フィリピン大学の卒業式での銃撃事案(2022年7月24日)

フィリピン南部ミンダナオ島バス爆発事案(2022年1月11日)

フィリピンマニラ沖での海賊行為(2021年8月13日)

フィリピン首都ショッピングモール銃撃事案(2021年2月24日)

フィリピン中部武装派勢力と当局の銃撃戦(2020年9月18日)

有料会員限定:【事案分析】フィリピン南部ヨロ島教会爆破テロ(2019年1月27日)

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