爆破予告の信ぴょう性を判断する5つの条件

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日本国内で相次ぐ航空機爆破予告

2023年、1月7日午前6時20分ごろ、成田空港のインフォメーションセンターに対し航空機に爆弾を仕掛けた旨の脅迫電話が入りました。脅迫を受けたのは成田発福岡行きのジェットスター501便(乗客136人、乗員6人)でした。脅迫を受け、飛行開始から約1時間後同機は中部国際空港(セントレア)に緊急着陸し、乗客らは緊急脱出を行い避難しています。緊急脱出の際、乗客5名が切り傷等を負いましたが全員軽傷であり、結果的に爆発物は見つかりませんでした。
お正月期間の土曜日に中部国際空港の滑走路が長く封鎖されるなど本事案の影響は大きかったと言えます。テレビや新聞でも大きく報じられましたのでご記憶されている方もおられるかもしれません。
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緊急着陸し、乗客が避難した後の捜査の様子(毎日新聞のウェブサイトよりキャプチャ)
実は本事案の5日前、1月2日にも成田空港に到着した台湾スターラックス航空機へも同様の爆破予告があったことが分かっています。こちらは台北発成田行きの航空機であり、飛行中の脅迫だったため、成田空港に到着後に緊急で爆発物の検査が行われたと報じられています。こちらも爆発物は発見されていません。
ジェットスター機に対する脅迫はドイツ国内から英語の電話でかかってきたとのこと。しかも脅迫電話はジェットスター機がターミナルから離れた直後に行われたとされており、特定の機体に対する標的が明確だった可能性が否定できません。なぜ、1)ドイツから、2)英語で、3)成田発の日本拠点航空会社、それも4)LCC宛てに、脅迫がなされたのかは現時点で不明であり、真相の究明が待たれる事案と言えます。
いわゆる爆弾テロの発生が長期間発生していない日本において、緊張感のある爆破予告が入り、長時間空港が封鎖されたことは極めて大きな事案だったと言えるでしょう。
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爆破予告だけなら簡単にできてしまうという現実

さて、日本国内での爆破予告がここまで大きく報じられることはめったにありません。皆さんも本事案の報道を見て驚かれたのではないでしょうか?しかしながら、世界に視野を広げてみると爆破予告は皆さんが想像している以上に多く発生しています。直近ではセルビアやコソボ等で多数の同時爆破予告が発生しています。

【参考】セルビア首都学校への大量爆破予告

 

ここまで大きく報じられはしていませんが、日本国内でも渋谷区及び世田谷区の学校30校に爆破予告が届いた事案(2020年6月8日)や静岡市のホームページに「市内の小中学校を全校爆破する」「下校時間に小中学生を拉致して殺害する」といった書き込みがなされる事案(2022年9月8日)等が確認されています。他のニュースとの兼ね合いもあって、大きく報じられることは少ないかもしれませんが、報じられないからといってまったく起こっていないというわけではありません。改めて皆さんが認識していない出来事にも大きなリスクが潜んでいる点ご確認下さい。

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静岡県HPへの爆破予告を踏まえた小中学校爆破予告を受けた対応

さて、爆破予告、脅迫は「威力業務妨害罪」に該当する極めて重大な犯罪です。他方で、爆破予告そのものは電話/メール/SNS等を用いれば誰だってできてしまいます。このページの読者の方は今この瞬間お使いのデバイス(パソコン、スマホ、タブレット等)を用いれば「どこかを爆発する」という書き込みはできてしまうのはご想像の通りです。(誰もやろうと思わないでしょうし、実際にやる方がいないのは言うまでもありません)

 

ですので、爆破予告だけを取り上げて毎回大騒ぎしてしまうのは困りものです。最悪の可能性を想定して対応するのはもちろん大切ではありますが、その対応のために日常生活や通常業務を毎回止めてしまうとその損害は多大なものになりすぎます。この点で考慮すべきなのは爆破予告の信ぴょう性です。誰でもできてしまう爆破予告を一定の精度で見極めるためにも爆破予告の信ぴょう性を判断する基準をお伝えしましょう。

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爆破予告の信ぴょう性の判断基準

冒頭ご紹介したジェットスター機への爆破予告について考えてみましょう。今般の事案では
1)飛行機が離陸した時間の直後に電話があったこと、
2)便名を名指ししていること、
3)なんらかの具体的な要求があった模様であること、
等から考えて緊急着陸や空港閉鎖といった「大事」とするに値する信ぴょう性を感じさせる脅迫だったと言えます。結果的に爆発物は発見されていませんが、上記で挙げた学校への爆破予告と比べるとずいぶんと信ぴょう性が高そうだな、と感じていただけるのではないでしょうか?
先ほどお伝えした通り、爆破予告や脅迫そのものは誰でも簡単にできてしまいます。しかしながら、予告に比して現実問題として爆発を起こすには、爆発物製造・保管・設置・起爆といったプロセスを実践することが必要です。そのうえで、自身が犯人であることを悟られないようにする必要もあるのですから、実行難易度は単なる脅迫と大きく異なるのは明らかです。
ここまでしてもなお爆発を実現させるという犯人/犯人グループがいるとすれば、そこには強い動機と標的に対する尋常ならざる執着心が現れます。このため、真に犯行を計画している場合、脅迫にも信ぴょう性が現れると言えます。ではここで、当サイトが考える信ぴょう性判断の基準をお伝えしましょう。
1)具体的な標的が明確に名指しされていること
2)脅迫に伴って具体的な要求(金銭、政治的/社会的要求等)がなされていること
3)予告内容の犯行が実現可能と想定されること
4)脅迫者が匿名ではなく名前や団体名を名乗っていること
5)爆破の目的と標的が合致していること
皆さんが直観的に学校への爆破予告が「信ぴょう性が低そうだな」と感じた理由の一つは3)ではないかと思います。同時に30以上の学校への爆破を実行するのは不可能だと思いませんか?よほどの大人数で計画を練り、一致団結して犯行に及べば不可能ではないものの、かなりあり得ないシナリオであることは皆さんも推測できるハズです。
そして上述の通り、コストと時間と労力をかけて爆発物を製造し、仕掛けているのであれば漠然とした脅迫にはなりづらいと言えます。ジェットスター機に対する爆破予告のように、爆破対象を明確にし、そして対象の動きや標的周囲の状況を把握しながら脅迫をすることも不思議ではありません。さらに、仮名や偽名であっても匿名ではなく、何等か自分の名前を表明する点も信ぴょう性を高める要素と言えるでしょう。
こうした要素を踏まえ、万が一爆破予告を受けた場合には信ぴょう性を想定して対応することをおススメします。日本はもちろん、海外においても爆破予告を受けた場合、近隣で爆破予告がなされたという情報があった際、最終的には信ぴょう性の高・中・低に応じた対応を講じることになります。こちらは別途推奨される対応を整理して解説するページをご用意したいと思います。
ASIS-bomb-threat-tip
世界最大級のセキュリティ人材コミュニティASISが提示する爆破予告に対する推奨対応事項13項目
この項終わり