日本犯罪統計からみる海外での安全対策

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日本は人のものを盗まない社会

2021年2月、警察庁は令和2年(2020年)分の「犯罪統計資料」の確定数値を発表しました。この情報に基づけば、日本国内における刑法犯の認知件数は全体で約61万件となっています。これは平成31年/令和元年度と比較しても18%以上少なく、戦後最小でした。

新型コロナウイルス感染症対策に伴う外出自粛や夜間時間帯を中心とした店舗の営業中止の影響もあったでしょうか、昨年は一気に犯罪認知件数が減っています。しかしながら警察発表のグラフを見ていただければ、この数年犯罪発生件数は確実に減少傾向にあることがわかると思います。

2020_crime_stat_jpn_police

 

認知された犯罪のうち概ね7割は窃盗犯(すり・ひったくり、自転車盗、万引き、住宅等への侵入盗など)ですが、こちらの件数は約42万件となっています。窃盗犯の件数もここ数年は減少傾向です。

日本の人口はご存知の通り約1億2500万人ですので、窃盗犯の認知件数は10万人あたり336件程度ということになりますね。

 

反対に増えているのは「オレオレ詐欺」や「架空請求」といったいわゆる特殊詐欺事件です。こちらは、物理的な接触を最小限として、現金を振り込ませたり、郵送させることによってお金を盗む犯罪ですが、平成29年度に47,000件と過去最高を記録しました。その後は他の犯罪同様現象傾向ですが、それでも34,000件との被害が発生しています。

 

この統計値を見てわかるのは、日本ではいわゆる「泥棒」と聞いてイメージされるような窃盗犯は思っている以上に少ないということです。よくよく皆さんの周囲の状況を確認してみてください。万引きなどが良い例ですが、「盗もう」と思えば、盗めてしまうものはあちこちにありますよね。街中のコーヒーショップに行けば、鞄やスマホ、時には財布で席を確保していることを見かけることも・・。

(注:窃盗は犯罪です。あくまで想像してください、という趣旨です)

 

これだけものを「盗みやすい」状況で、物を盗まれたと訴える人がどんどん減っているという点に日本の特色があります。日本人はみな小さい頃から「人のものを盗んではいけません」ということを繰り返し教え込まれていますし、そもそも盗むというリスクを冒さなくても簡単に買える社会であることも一因でしょう。さらには警察も十分に機能しており、捕まる可能性も高いという認識が浸透していることも抑止力として働いているのかもしれませんね。

 

【次ページでは・・・日本と海外の犯罪発生統計を比較してみると・・・】