インド治安最新情報(2024年11月)/海外安全.jp


0.日本人向けの緊急連絡先

◎在インド日本国大使館    :+91-(0)11-4610-4610

◎在コルカタ日本国総領事館  :+91-(0)33-3507-6830

◎在ムンバイ日本国総領事館  :+91-(0)22-2351-7101

◎在チェンナイ日本国総領事館 :+91-(0)44-2432-3860

◎在ベンガルール日本国総領事館 :+91-(0)80-4064-9999

(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

◎警察  : 100(全国共通)

◎消防署 : 101(全国共通)

◎救急車 : 102(全国共通)

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

日本、アメリカ、イギリス、オーストラリアのいずれの政府も北部ジャンム・カシミール州やパキスタンとの国境付近への渡航に対しては渡航を控えるよう注意喚起を発しています。同様に北東州のマニプール州、アッサム州、ナガランド州等に高いレベルの注意喚起が集中しています。

各国がインドにおける脅威として挙げている要因は以下四点です。

・宗教や民族の主義主張に基づくテロや襲撃

・スリや置き引き、強盗等の一般犯罪

・交通事故

・女性に対する強制わいせつを含む性犯罪

なお、インド・パキスタン双方の国境警備隊が毎日夕刻セレモニーを行うワガーボーダーに対して、オーストラリア政府のみ近寄らないよう注意喚起を発しています。

【海外安全.jpのコメント】

大規模なテロは2014年を最後に発生していませんが、ヒンドゥー教徒、イスラム教徒、シーク教徒、仏教徒といった宗教間の争い、また多種多様な民族同士の争い、急速な経済発展に伴う経済格差などテロの要因は否定しきれません。

特に日本人も犠牲になった2008年のムンバイ同時多発テロは巨大都市のランドマークとも言える高級ホテルが襲撃され、死傷者数が100名を超えました。今後も類似の事件が発生しないとも言い切れず、特に不特定多数の人が集まる場所、外国人が多く集まる場所等では不審人物や不審物がないか、十分にご注意ください。

また、スリや置き引き、強盗等の発生率が高いこと、さらに外国人・インド人を問わず女性への強制わいせつ事件の発生率が高いこと、からインドへの渡航の際はそうした被害に巻き込まれないよう、十分に注意が必要です。特に女性は一人で郊外を移動する、夜道を歩く、といった行為は危険であることを強く認識していただくことをおススメします。

2.日本政府の危険情報

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日本政府はインドに対し以下の注意喚起を発表しています。

レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)
⇒ジャンム・カシミール州管理ライン(パキスタンとの国境付近)

レベル3:渡航は止めてください
⇒ジャンム・カシミール州スリナガルとその近郊およびラダック地域を除く地域

レベル2:不要不急の渡航は止めてください
⇒ジャンム・カシミール州スリナガルとその近郊

⇒マニプール、アッサム(グワハティ市はレベル1)、ナガランド、メガラヤ各州(東カシ・ヒルズ県、リボイ県、西ジャインティア・ヒルズ県、東ジャインティア・ヒルズ県はレベル1)

⇒マハーラーシュトラ州東部地域ガドチロリ県、ゴンデア県、チャンドラプル県

⇒アンドラ・プラデシュ、テランガナ、オディッシャ、チャッティースガル各州の高原奥地、ジャールカンド及びビハール両州の農村地域

レベル1:十分注意してください
⇒上記以外の全土

ガイドブックで多く紹介されている観光地(デリー、ムンバイ、アグラ、ジャイプール、バラナシ、ケララ、ハイデラバード、マイソール、チェンナイ、コルカタ等)はすべて「レベル1:十分注意してください」となっています。

日本政府はインドにおける脅威要因として、

1)民族・宗教が絡む各種の独立運動(および関連のテロ)

2)スリ、ひったくり、置き引き、強盗等の一般犯罪

3)性犯罪

を挙げています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

現時点では新型コロナウイルス感染症の影響はリスクレベルに反映されていません。新型コロナウイルス感染症感染症の拡大前と同じ以下の通りのリスクレベルになっています。


ジャンム・カシミール州(ラダック地域、州都レーを除く)

インド・パキスタン国境から10キロ以内の地域

上記地域には反政府武装勢力によるテロやパキスタンとの軍事衝突の可能性があることから最も高いレベルが設定されています。


上記を除く全土

アメリカ政府はインドにおける脅威要因はテロと一般犯罪であるとしています。特にパキスタンとの国境付近におけるテロや市民暴動(インドからの独立を求める活動等)への注意が必要であるとしており、こういった活動が見られる地域に対しては「渡航を中止してください: Do not travel」の注意喚起を発しています。

それ以外の地域は「十分警戒してください:Exercise increased caution」とされています。また、アメリカ政府はインドにおいて強制わいせつを含む性犯罪が急速に増えている点で警告を発しています。

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

イギリス政府は危険レベルを地図上の色分けや文言の形式で示していません。国土の大半は「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」の設定と考えて問題ありません。首都デリーや大都市ムンバイ等一般的な観光地には特段の注意喚起はありません。

マニプール州全域に対しては「渡航を推奨しません:Advise against all travel」が設定されています。最も警戒レベルの高い「渡航を推奨しません:Advise against all travel」のトラベルアドバイスはパキスタンとの国境付近(観光地になっているワガ―国境を除く)及びジャンム・カシミール州のジャンム、およびラダック地方を除く同州全域に設定されています。

ただし、インド全体への一般的なテロの脅威に引き続き、イギリス政府も女性に対する性犯罪の深刻さを脅威要因として記載しています。イギリス人女性がこれまで被害に遭った都市としてゴア、デリー、バンガロールの名前も記載されており、女性は一人旅の時はもちろん、グループで旅行している場合でも十分に注意するようアドバイスがあります。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付国土の大部分が「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」にリスクレベルが引き下げられました。コロナ後、リスクマップの掲載が行われておりません。

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オーストラリア政府はオーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。インド国内のレベルわけは以下の通りです。
「渡航を取りやめてください:Do not travel」
⇒ジャンム・カシミール州のラダック地方を除くエリア
パキスタンとの国境付近

「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」
⇒アッサム州(グワハティ市を除く)、ナガランド州、マニプール州、チャッティースガル州、パキスタンとの国境ワガーボーダー

「十分警戒してください:Exercise high degree of caution」
⇒ 上記を除く全土

オーストラリア政府はインドでの脅威要因として、テロや襲撃、市民暴動、一般犯罪、そして頻繁な交通事故を挙げています。加えて、他国政府同様に女性に対する性犯罪が多いことから、一人旅は勧めないと明確に記載があります。

6.最近の治安ニュース

インド北部スリナガル商業地での爆発(2024年11月3日)

インド北部宗教行事での雑踏事故(2024年7月2日)

インド首都での爆破予告続発(2024年5月)

インド首都市内政治家の逮捕に対する抗議活動(2024年3月21日)

インド西部大学構内での異教徒襲撃事案(2024年3月16日)

インド東部スペイン人への性暴力事案(2024年3月2日)

インド首都イスラエル大使館付近での爆発(2023年12月26日)

インド中南部での一斉過激派掃討作戦(2023年12月)

インド南西部キリスト教系団体集会中の爆発(2023年10月29日)

インド首都近郊イスラム教寺院襲撃(2023年8月1日)

インド首都郊外他各地での洪水被害(2023年7月25日)

インド西ベンガル州公衆トイレでの爆弾爆発(2023年6月5日)

インド北東部マニプール州での外出禁止令(2023年5月4日)

インド首都テロ計画の発覚(2023年1月14日)

インド西部鉄道線路の爆破と爆発物押収(2022年11月13日)

インド イスラム侮辱発言に対する抗議活動(2022年6月10日)

インドヒンドゥー教主義者葬儀参列者の暴徒化(2022年2月21日)

インド北東部シロン商店街での爆発(2022年1月30日)

インド北部警察と武装集団の対立(2021年12月13日)

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