パキスタン治安最新情報(2024年9月)/海外安全.jp


0.パキスタンにおける日本人向けの緊急連絡先

◎在パキスタン日本国大使館  :+92-(0)51-907-2500

◎在カラチ日本国総領事館   :+92-(0)21-3522-0800

◎警察  :15

◎救急  :115

◎消防  :16
(注:日本の携帯電話からかける場合機種にもよりますが、「0」の長押し、もしくは「*」を二回押すと「+」が入力できます)

ディスクレイマー

・本ページは日本・アメリカ・イギリス・オーストラリアの各政府が発表しているトラベルアドバイス類を比較し、情報提供を行うことを目的としています。

・当サイトに記載の情報は、各国政府の発表内容及び当サイトが信頼に足ると判断した各種メディア情報を踏まえて掲載しています。

・本ページに記載された内容は各国における皆様の安全を担保するものではありません。

・当サイトでは、本ページ記載の情報を基に行った皆様の判断によって引き起こされる損害等の責任は負いかねます。

・海外への渡航に際しては、日本政府外務省や所属されている組織/団体、旅行会社等の具体的な助言に従い、ご自身で安全確保に努めていただくようお願いします。

本稿執筆監修者 / 海外安全.jp代表 尾崎由博

1981年生。2006年より国際協力機構(JICA)にて勤務。インド、パキスタン、アフガニスタン等南アジアにおける安全対策、開発支援案件の形成、実施を担当。パキスタン駐在中国政選挙や首都における大規模反政府デモ等に対応し、現場での安全管理業務ノウハウを体得。2016年7月に発生したバングラデシュ、ダッカレストラン襲撃事件後に発足した安全管理部の第一期メンバーとしてJICA安全対策制度、仕組みの多くを構築した他、組織内の緊急事態シミュレーション訓練を担当。国連機関及び世界銀行の危険地赴任者向け訓練等を受講しており、JICAのみならず国際機関の安全対策研修内容も熟知。2018年より独立、2020年株式会社海外安全管理本部を設立し代表取締役就任。クライアント行政機関、大手セキュリティー企業、開発コンサルティング企業、電力関連企業、留学関連企業、各種大学法人、一般社団法人や独立行政法人など講演実績:大阪弁護士会「パキスタン投資・リスクマネジメントセミナー」海外コンサルタンツ協会「海外活動安全強化月間セミナー」日経メッセ「セキュリティショー」「多元化する危機管理」他多数。日本経済新聞2020年11月24日付13面に寄稿記事が掲載。

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1.総論

パキスタンに対しては各国政府とも危険度が高いと評価しています。特にアフガニスタンとの国境に近いハイバル・パフトゥンハー州(旧連邦直轄部族地域を含む)、バロチスタン州、とインドとの係争地付近にはいずれの政府も立ち入らないよう強く呼びかけています。

上記以外の地域でもテロや誘拐はもとより、政治的不安定さや銃を用いた一般犯罪など、注意を呼び掛けている項目が多岐にわたっており、各国政府とも渡航計画を十分練り、必要な安全対策を十分講じた上でパキスタンに渡航するよう注意喚起しています。

【海外安全.jpのコメント】

オーストラリア政府のトラベルアドバイス中に記載がある通り、パキスタン国内で発生しているテロ事案数は減少傾向です。かつてほどテロが頻発している状況ではありませんが、治安当局、政府機関、宗教関係施設、欧米人が多く集まる場所などへのテロ・襲撃事案は引き続き複数発生しています。

現地情勢を十分把握し、信頼のおける宿泊先、移動手段を確保できないのであれば、パキスタンへの渡航はオススメできません。業務の都合等やむを得ずパキスタンに入る場合は、日本政府外務省の注意喚起はもちろん、その他各国政府のアドバイスもよく読み、立ち入る地域の危険度に応じた安全対策を確保してから渡航されることをおススメします。

なお、2022年の洪水ではパキスタンは全土の約3分の1が洪水によって被災しました。例年北部山岳地帯で水害を引き起こした水が一か月程度かけてインダス川下流に流れ、さらなる被害をもたらすことが繰り返されています。南部の最大都市カラチ周辺でも甚大な洪水被害が危惧されますのでご注意ください。首都イスラマバードやラホールでの活動は可能ですが、土地勘のない方は治安・政情に加え自然災害のリスクがある点も十分注意の上、渡航は慎重に計画ください。

2.日本政府の危険情報

「レベル4:退避を勧告します。渡航は止めてください」が設定されている地域
アフガニスタンとの国境付近一帯

ハイバル・パフトゥンハー州(KP州)の以下レベル3及びレベル2で指定した以外の地域

旧連邦直轄部族地域(旧FATA)全域

インドとの管理ライン(LoC)等付近一帯

「レベル3:渡航は止めてください」が設定されている地域
KP州のノウシェラ郡及びスワビ郡

バロチスタン州のデラ・ブグティ郡及びコールー郡

シンド州のジャコババード郡、チトラル郡(アフガニスタンとの国境付近はレベル4)

イランとの国境付近一帯

「レベル2:不要不急の渡航は止めてください」が設定されている地域
首都イスラマバードや主要都市ラホール市、カラチ市を含む上記を除く全土

 

パキスタンの危険レベル設定は非常に複雑ですが、全土でテロや政治的混乱に伴う暴力行為などが懸念されるため、世界的に見てもかなり高いレベルの危険情報が設定されています。

アフガニスタンとの国境方面、インドとの国境付近は最高レベルの警戒が必要とされています。イランとの国境およびシンド州中央部等が上から二番目の警戒度、それ以外全土でも不要不急の渡航を止めるよう呼びかけがなされています。

これまでパキスタンで日本人がテロ被害に遭ったことはないとの記載がありますが、外国人を含め多くの方がテロで死傷している経緯が紹介されています。

一般犯罪も日本と比較すると極めて高い発生率となっており、特に銃器や暴力を用いた強盗事案が発生している旨記載があります。

また、ラマダンやイードといったイスラム教の宗教行事の際は不要不急の外出を控えるよう注意喚起がなされています。

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3.アメリカ政府のトラベルアドバイザリー

旧連邦直轄部族地域を含むハイバルパフトゥンハー州

バロチスタン州

インドとの領有権問題の関係で設定されている管理ライン周辺

上記エリアに対してはテロや軍事衝突のリスクが高いことを踏まえ「渡航を中止してください: Do not travel」が設定されています。

上記を除く全土

首都イスラマバードや最大の都市カラチ、東部パンジャブ州の中心地であるラホール等は一段低い「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider travel」が設定されていますが、以下のような具体的なアドバイスに従い、安全を確保するよう呼びかけられています。

・Visit our website for Travel to High-Risk Areas
・Remain aware of your surroundings and local events
・Vary travel routes and timing, especially for routine trips
・Minimize the duration of trips to public markets, restaurants, government and military institutions, and other locations
・Minimize the number of U.S./Western nationals congregating in any one location at any time
・Enroll in the Smart Traveler Enrollment Program (STEP) to receive security alerts and make it easier to locate you in an emergency
・Follow the Department of State on Facebook and Twitter
・Review the Crime and Safety Reports for Pakistan
・U.S. citizens who travel abroad should always have a contingency plan for emergencies. Review the Traveler’s Checklist.

4.イギリス政府のトラベルアドバイス

イギリス政府の危険レベルの設定は次の通りです。

「渡航を推奨しません:Advise against all travel」が設定されている地域

・旧連邦直轄部族地域

・ハイバル・パフトゥンハー州のチャルサダ、コハート、タンク、バンヌー、ラッキ、デライスマイルカーン、スワート、ブネール、ロウワーディールの各郡

・ペシャワール市及びその周辺

・クエッタ市を含むバロチスタン州(ただし同州南部の海岸沿いは除く)

・マンセラからチラースに至るカラコルムハイウェイ

・インドとの管理ライン周辺10マイル圏内

・アフガニスタン国境から10マイル圏内

「必要不可欠な渡航以外は避けてください:Advise against all but essential travel」が設定されている地域

・ハイバル・パフトゥンハー州チトラール峡谷のアランドゥからミルカナまで(チトラール・コナー・ロード)

・バロチスタン州南部の海岸沿い(グワダル市を含む国道10号線、25号線以南)

・シンド州ナワブシャー市および同市よりも北側のシンド州内陸部

・ギルギットバルチスタン地方

首都イスラマバードや最大の都市カラチ、東部パンジャブ州の中心地であるラホール等、上記以外の地域は明確に指定されていませんが、「渡航前に注意事項を確認してください:See our travel advice before travelling」の対象と思われます。

テロや政治的混乱が頻発しており、これらに巻き込まれないよう強く注意喚起されています。特に、パキスタンでは欧米人が直接テロの標的となる危険性が指摘されています。

宗教行事の期間は通常よりもテロや襲撃のリスクが高まる可能性があることが記載されています。

一般犯罪も多発しており、パスポートやキャッシュカード、スマートフォン、タブレット等貴重品には普段以上に窃盗被害に遭わないよう注意する必要がある旨記載されています。

ただし、同HPによれば、年間27万人ほどのイギリス人がパキスタンに渡航していますが、ほとんどはトラブルに遭わずに帰国しているとの記載もあります。

5.オーストラリア政府のトラベルアドバイス

新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、2020年~2021年10月末までオーストラリア政府は全ての国に対する渡航をやめるよう呼びかけており、すべての外国が「Do not travel : 渡航を止めてください」に指定されていました。2021年11月1日付一部地域が「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」にリスクレベルが引き下げられました。

pakistan-aus-level

オーストラリア政府は4段階の色分け+白(評価なし)の5段階のレベルわけを行っています。

パキスタンにおけるレベル設定は以下の通りです。

最も危険とされる「渡航を取りやめてください:Do not travel」

バロチスタン州

チトラール郡を除くハイバル・パフトゥンハー州

アフガニスタンとの国境付近

インドとの国境付近(ラホール、ワガー、カスール、ナロワール、シアルコットを除く)

上から二番目の「渡航の必要性を再検討してください:Reconsider your need to travel」

上記を除く全土

全土的にテロ、誘拐、イスラム教宗派間対立に伴う暴力が頻発しており、渡航の必要性を再検討する必要がある旨記載があります。その上で、「渡航を取りやめてください:Do not travel」の地域は「極めて危険」(extremely dangerous)との記載があります。

本トラベルアドバイスを読んでもなおバロチスタン州やハイバル・パフトゥンハー州等に立ち入る場合には専門のセキュリティガードを配置するなど、追加的な安全対策を講じるべきである旨記載されています。

6.最近の治安ニュース

パキスタン南部カラチでの爆発事案(2024年4月19日)

パキスタン北西部総選挙立候補者の射殺事案(2024年1月31日)

パキスタン中西部での選挙関連爆発事案(2024年1月30日)

パキスタン北西部ダラバンでの検問所付近自爆テロ(2023年12月13日)

パキスタン北西部市街地での爆発(2023年11月3日)

パキスタン南西部モスクでの大規模自爆テロ(2023年9月29日)

パキスタン中東部キリスト教会への襲撃(2023年8月16日)

パキスタン南西部港湾都市での銃撃事案(2023年8月13日)

パキスタン北西部宗教政党を狙った爆発事案(2023年7月30日)

パキスタン政治的混乱に伴う衝突(2023年5月9日)

パキスタン北西部での高校襲撃事案(2023年5月4日)

パキスタン全土での洪水被害(2022年8月)

パキスタン南部繁華街での爆発事案(2022年5月12日)

パキスタン南部カラチ大学構内での爆発(2022年4月26日)

パキスタン北西部モスク爆弾テロ(2022年3月4日)

パキスタン東部繁華街での爆発(2022年1月20日)

パキスタン首都警察官への襲撃事案(2022年1月17日)

パキスタン宗教政党による暴力的抗議活動(2021年10月27日)

パキスタン西部クエッタでの自爆テロ(2021年9月5日)

パキスタン南部グワダルでの自爆テロ(2021年8月20日)

パキスタンカラチでの中国人銃撃事案(2021年7月28日)

パキスタン北西部バス爆発事案(2021年7月14日)

パキスタン東部ラホール住宅街での爆発(2021年6月24日)

パキスタン北西部ホテル入口での自爆テロ(2021年4月21日)

パキスタン首都近郊警察署付近での爆発(2020年12月13日)

パキスタン首都郊外バス停での爆発(2020年12月4日)

パキスタン北西部での宗教学校爆発事案(2020年10月27日)

パキスタンクエッタ空港付近での爆発(2020年10月14日)

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